第44話 ずっとおばさんのターン
おばさんは少しだけ表情を緩めた。
「ふん、なかなかの情報を持ってるようだね。生かしておいて正解だったよ。おかげで、外に出た途端いきなり殺られる展開はなくなったわけだ」
そうそう。
なんでもかんでも殺せばいいってもんじゃないんだぞ?
俺なら情報捨てても即殺すけどな。
美少女だったら別だけどな。
「で、世界探偵と同盟を結んだもう一人の能力者ってのは誰なんだい?」
おいおい、次は俺の番だろう。
と言いたいところだが無理だ。
おばさんの表情は、もう険しくなってる。
「ああ、ええと、もう一人は……」
まずいな。
もう一人は知らないんだよな。
正直に言っても、まず信じてもらえないだろう。かなり重要な情報だし、拷問が始まるのが目に見えている。
仕方がない。
ここは口から出任せで乗り切ろう。
どうせ証拠はないんだ。
「もう一人は、瞬間移動の能力者です」
「それは、世界探偵がそう言ったのかい?」
げ、こいつ疑ってやがる。
「そうです。電話越しだけど、本人の声を聞いたんで間違いないと思います。少し幼い感じの女の子の声でした」
「ふ〜ん、わざわざ手の内を晒す意味は何だったのかねぇ……?」
ちくしょう、正直に言った方が良かったのか。
だが今さら遅い。
このまま話を通すしかねえ。
「たぶん、自分たちの戦力を誇示するためだと思います。なにせ上位能力者が二人もバックにいるわけですから、相手がビビって交渉とかしやすいんじゃないですかね」
「交渉ね……。そういや、あんたさっき世界探偵から電話がかかってきたとか言ってたけど、それも交渉の話だったのかい?」
ちくしょう、またそっちのターンかよ。
このままじゃ一方的に情報を吸い上げられちまう。
かといって、そろそろこっちの番だなんて言ったら何されるか分かったもんじゃないし、どうすりゃいいんだよ……。
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