第43話 能力者探知

おばさんは話を続ける。


「当然ながら、時間停止無効能力だけじゃ話にならない。で、神様からもらったもうひとつの能力が『能力者探知』ってヤツさ」


「能力者の居場所が分かる能力ですね?」


「半径10km以内に限るけどね。しかも、そいつがどの能力者かは行ってみなけりゃ分からない」


よし、こっちは充分使える。

まさに俺のために用意されたような能力じゃないか。


まるでロールプレイングゲームだな。

このおばさんを倒せば展開が進むようにできている。

しかし、簡単には倒せないようにもできている。


神様の考えが少しずつ分かってきたぞ。

楽しんでる。

神様は自分が作ったゲームの中で駒同士が戦う様を見て、楽しんでやがる。


じゃなきゃ、こんな回りくどい真似はしないだろう。


「じゃあ今、俺の他に能力者は探知してますか?」


「いいや、今はいないね」


いいねえ、その能力。

それがあれば不用意に接近される恐れもなくなるワケだ。

何がなんでも手に入れてやる。

あんたを殺してな。


「すごい能力ですね。その能力で早速一人倒して、三つ目の能力を手に入れたってことですか?」


「ああ、そういうことさね」


「三つ目の能力は、どんな能力なんですか?」


「待ちな。これだけ話してやったんだ。今度はこっちが聞く番だよ」


ち、抜け目のない。


「さっきの話の続きだ。世界探偵の居場所や同盟を結んだっていう能力者のこと、知ってる限り話してもらうよ」


「……分かりました」


さて、ここからは慎重に答えないとな。

全部話してしまったら用済みで消される恐れがある。情報は小出しにしないと。

だが、あまり出し惜しむのもまずい。

逆上されて拷問なんて展開になりかねない。


「まず世界探偵の居場所ですが、奴は宇宙ステーションにいます」


「な、なんだって?!」


さすがのおばさんも驚きを隠せないようだ。


「俺の時間停止能力の効果範囲は地球全体ですから、宇宙にいる奴には通じません。だから、世界探偵は今も活動中です」


「へえー。でも活動たって、そんなところで何ができるってんだい?」


「衛星カメラでこちらを監視しています。今は建物の中にいるから見えないでしょうけど、外に出れば行動は筒抜けです」


「ほうほう、気に入らないねえ。まるで神様気取りじゃないか」


「あと、ここが一番重要なところなんですけど、向こうには超長距離射撃の能力者がいますので、外で時間停止を解除したら一瞬で殺される恐れがあります」


「なにぃ……。でも、停止中なら攻撃は当たらないってことかい?」


「そうです。宇宙から撃ってきたビームみたいなものは、地球に入った途端停止しました」


「なるほどなるほど。じゃあ、そいつが生きてる限り、基本的にはずっと時間停止してなきゃならないわけだ。厄介だね」


厄介なのはあんたもだよ。

だが、このおばさんの能力を他の奴に取られるわけにはいかないからな。

こればかりは伝えておかないと。


敵の能力者たちに潰し合いをさせて楽することができない。よくできたゲームだよ、まったく。

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