第36話 神様は退屈がお嫌いでいらっしゃる


俺は地下鉄の入口を見つけると、バイクを乗り捨てて階段を降りていった。


腹が減ったし、まずはメシだな。


駅構内にあるコンビニで弁当を無料で調達。カウンター内に勝手に入ってレンジで温める。


それを隣接するカフェに持ち込む。

カフェは満席だったので、邪魔な客をどかしてソファを空ける。


やりたい放題だ。


食事の後、ちょうど淹れたてのコーヒーがカウンターにあったので、それをかっぱらって再びソファに座る。


一息ついてから、俺は考える。

さて、問題は二つ。


ひとつは言うまでもなく、どうやって他の能力者を探すか。

もうひとつは、ステータス画面のリストにない能力者がいる可能性だ。


俺のステータス画面の能力者一覧に載っているのは6人。


初代リッパーである俺。

二代目リッパーの女。

超長距離射撃の根暗男。

瞬間移動能力の女の子。

カウンター能力の筋肉男。

透明化能力のおばさん。


このうち透明化おばさんは既に死亡している。

能力を奪ったのはカウンター能力の男。


この男の能力は、能力による攻撃に対してカウンターが発動すると説明が表示されている。

俺の時間停止能力は攻撃ではないから、こいつの能力で反撃されることはない。


そこはいいとして、問題なのは二代目リッパーの女が持っている『宇宙空間適応能力』だ。


あの女が元々持っていた能力は『能力を増幅する能力』だ。その後、俺から『なんでも切れる能力』を奪った。


で、この3つ目の能力はなんだ?

この能力の元の持ち主がリストに載ってないぞ。


なぜこんな能力が存在するかは分からないが、この6人以外にも能力者がいる可能性を考えなくてはならない。

その中に、俺の時間停止能力が効かない奴がいる可能性も。


面倒だが、呑気に遊んでる場合じゃないな。とりあえず警官から拳銃でも奪って武装くらいはしておかないと。


同じ失敗はしない。

俺だけが圧倒的に有利だなんて思わない。


なにせ、神様は退屈がお嫌いでいらっしゃるようですからね。


このまますんなり俺の勝ちとはいかないはずだ。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る