第20話 決着まで
『宇宙空間適応能力』
ステータス画面で詳細を確認すると、要するに生身の状態で宇宙空間を自在に動き回れる能力のようだ。
呼吸の必要はなく、温度は常に快適。
推進剤がなくても移動ができる。
すごいことはすごいけど、地球上では何の意味もない。
どうしてこんな無意味な能力を……?
いや、問題はそこじゃない。
問題なのは、この能力を私が知らなかったことだ。
こんな能力、説明にはなかったしステータス画面のリストにも載っていない。
私が最弱じゃなかったってこと?
確かに、最弱というのは私の勝手な思い込みだった。あの胡散臭い主催者にそう言われたわけじゃない。
この『宇宙空間適応能力』は私の『能力を増幅する能力』よりもっと使いどころがない。
だからハンデとして私にすら存在が秘匿されていたと考えれば辻褄が合う。
……危なかった。
けど運が良かった。
能力そのものは使えないけど、未知の敵の存在に気が付くことができたのは大きい。
ひょっとしたら他にも私の知らない能力者がいるかもしれない。私よりも多くの情報を持った厄介な敵が。
あまりのんびりしている暇はないな。
こうなったらもう一気に射程を伸ばしてカウンター男以外の全員を始末しよう。
他の能力者たちに貴重な能力を奪われる前に。
特に『瞬間移動能力』は絶対に取られたくない。
言うまでもなく『瞬間移動能力』はかなりの上位能力だ。だから、能力者はほとんど情報を持ってないはず。
少なくとも、こちらの素性や居場所は分かっていない。分かってるなら、とっくにやられてる。
万が一にも情報を持ってる奴が『瞬間移動能力』を手に入れたら最悪だ。
情報ゼロのリッパーと違って、そこまで油断はしてないと思うけど、逆に『瞬間移動能力』を持ってる奴が他の能力を手に入れるのも厄介極まりない。
事態はもう動き出している。
これ以上の様子見は悪手だ。
今、この場で決着を付けてやる。
とはいっても、無差別殺戮はしない。
首都圏の人口は4000万人以上いるわけだから、そこまでする必要はない。
1300万人で充分なのだ。
全員殺すと残った私が犯人ということになってしまうので、カウンター能力の男に対する目眩ましの意味でも無用な殺戮は避けたい。
まずは引き続き要介護者減らしだ。
首都圏だけでも要介護者は200万人以上いるというから、それだけでも射程2000kmを超える。
一部の離島を除いて、国内はすべて射程内。
先端は大陸にも届く。
全国の要介護者が670万人なら射程6700km。
世界の半分が射程内。
そこまでいったらの国内に拘る必要もない。国内外問わず、ありとあらゆる社会悪を裁いてやる。
そしたら残り600万人くらい、あっという間でしょう。
この世界には悪が多過ぎるから。
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