第18話 経験値集め③
というわけで、私は新幹線に乗って首都圏へと向かう。
もちろん、向かう過程でも経験値集めは行う。
発進と同時に能力を発動。
さすがに新幹線の駅がある都市だけあって人口が多い。順調な滑り出しだ。
ものの10分もしないうちに射程が6000mを超える。
射程が伸びれば経験値の伸びも早くなり、今度は5分もしないうちに7000mを超える。
この増え方は脳内物質がヤバい。
ただ数字が増えていくだけなのにゾクゾクが止まらない。
8000mを超えたあたりで新幹線が都市部を出て、車窓に田園風景が広がる。
一旦能力を停止して休憩しよう。
席が空いてて良かった。
一人で悶えてるとこ見られたら大変だったよ。
それから、住宅地や都市部に入っては能力を発動。あまり人が住んでなさそうなところでは休憩を繰り返し、首都圏に入る頃には射程は24000mを超えていた。
半径24km。
もはやオリジナルのリッパーとは桁違いの殺傷範囲。
今は要介護者しか狙っていないが、首都圏で無差別殺人を行えば、能力射程は爆発的に伸びていき、すぐにでも地球上のすべてを殺傷圏内に収めるだろう。
そうなれば他の能力者を問答無用で抹殺できる。
と言いたいところだが、そうはいかない。
それをやったら私は負ける。
カウンター能力を持った奴がいるからだ。
私はステータス画面から他の能力者についての詳細を表示させる(この機能については昨日知った)。
今のところ一番厄介なのは、カウンター能力を持つこの男だ。
この男には能力による直接攻撃が効かない。
やるなら能力を使わずに攻撃するか、建物の下敷きにするなど間接的に攻撃しなくてはならない。
しかもこの男、すごい筋肉質で強そう。
直接戦闘は絶対無理だ。
めんどうだなぁ。
こいつさえいなければ私の勝ちは確定だったのに。
この男に接近されたらおしまいだ。
顔は知られていないから、そうそう見つかることはないはずだけど、周囲の人間がみんな死んで私だけ生き残ってるような状況は避けたい。
今度はこっちが様子を見るか…。
勘のいい奴ならリッパーの能力が増大していることに、そろそろ気付くでしょう。
そうなったらもう様子見なんかしていられない。何らかの行動に出るはず。
高齢者減らしは続けるとして、ここからは能力者対策を優先した方がいいかもしれない。
できれば、他の奴に取られる前に取っておきたい能力もあるし……え?
不意に、カウンター男のステータスに『レベルアップ!』という表示が出てきた。
続いて、『透明化の能力を入手』
やられた…!
どこでどうやったかまでは分からないけど、今この瞬間に能力者が一人殺された。
よりによって、一番取られたくない能力が一番厄介な奴に。
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