第17話 経験値集め②
私はレンタカーを返した後、電車で少し離れた都市へ移動し、少し遅めの昼食をとった。
『原因不明の被害が多発』
『またリッパーの仕業か?』
ニュースは今回の事件で持ちきりだ。
まだ断定はされていないが、誰がやったかは明白。ネット上は恐怖と批判と称賛で溢れ返っていた。
いや、真っ向から批判する意見はそんなに多くない。ニュースとか立場のある人の意見は中立的、無責任な個人の意見は称賛寄りだ。
それはそうでしょう。
私は社会のためになることをやっているのだから。
表向きの建前では「敬老精神が大事」ということになってるけど、本音では「社会の足を引っ張る老害には早く消えてもらいたい」と思ってる人が多いはず。
税金年金を負担する現役労働世代なら尚更だ。
それに高齢者の中にも「現役世代に迷惑をかけたくないから楽に逝けるものなら早く逝きたい」と思ってる人だって結構いるでしょう。
まあそんなことは私にとっては割とどうでもいい話なんだけどね。
私にとって大事なのは、今後自分がどう動くのかと、他の能力者たちがどう動くかだ。
半日走り回ったおかげでだいぶ射程が伸びたから、もうこちらから老人施設を探す必要はない。
電車にでも乗って繰り返し念じ続けていれば、勝手に数字が増えていくだろう。
老人施設に拘る必要もない。
在宅でも刑務所でもホームレスでも、もはや回復する見込みのない要介護者は全部消していこう。
当然、人口が多い方が経験値が集まりやすいから、目指すのは首都圏だ。
他の能力者たちは不気味なくらい沈黙を保っている。
能力差を考えれば慎重に様子見するのは正解だろうけど、能力がリッパーから私に渡った以上それは悪手だ。
今のうちにどんどん射程を伸ばしてやる。
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