第368話 公開処刑の始まり
王妃の逆鱗に触れ、完全に戦意を失ったホルイン伯爵は王妃が呼んだ兵士たちに無抵抗に連れていかれる。彼は、これから、万が一にも逃亡を行わないように王妃からの処罰があるまで身柄を拘束されるのだ。
「王妃様、晩餐会の時は忠告できずに、すみません。あの時にお声を掛けることができれば少しでも事態はましになっていたかもしれません。」
「いえ、いいのよ。あなたのせいではないわ、あの場で男爵であるあなたが私に臭いなんて言えるはずがないもの。すべての責任は自分の商品を何の知識もなしに売りつけたホルイン伯爵と、そんな彼を信用した私にあるわ。」
クレハの謝罪に王妃は気にしないで欲しいと声を掛けるも彼女の落ち込み様は見ているこちらが暗くなってしまうほどだ。それもそうだろう、彼女が受けた羞恥とは女性としても、王妃としても、考えられないようなことだったからだ。
だからこそ、クレハは王妃にとある提案を行うのだった。
「王妃様、この際、もう一度、晩餐会を開いてはいかがでしょうか?」
「えっ、どういうこと?」
「今、王妃様には臭いというマイナスのイメージが付いてしまい、このまま挽回しなければ貴族達から永遠にそのイメージが残ってしまいます。だからこそ、この事が彼らの頭に定着する前に、マイナスのイメージを払拭するのです。」
人間の記憶とはイベントの最後の出来事が印象に残りやすい。だからこそ、クレハは今回の一件をすぐさま払拭することで無かったことにできると考えたのだ。
「でも、一体どうすれば・・・。私が臭いイメージは彼らの頭に刷りついているのよ。いまさら、あの香水を付けなかったからといって、このイメージが変わるとは思えないわ・・・。」
「その点に関しては安心してください。ホルイン伯爵にはかなり痛い目に遭ってもらいますが、王妃様の名誉は回復できると思います。むしろ、今回は良い意味で王妃様を注目の的にできますよ!」
「別に、私はマイナスのイメージが払拭できれば問題ないんだけど・・・、でも、ホルイン伯爵が痛い目に遭うだけで、元通りになるのなら、ぜひ、やって頂戴。彼の名誉をどれだけ下げようと、問題ないわ。お願いできるかしら?」
「お任せください、それでは私は準備がありますので今日は失礼いたします。王妃様は近いうちに晩餐会を再度、開催してください。それと、その際に余興の時間を入れておいてもらえば完璧です!」
クレハは王妃の名誉を挽回するために、とある物の開発をすぐさま行うのであった。もちろん、それはホルイン伯爵にとっては公開処刑を意味することになるのだが。
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