第275話 緊急会議
「こいつを牢に投獄しておけ!」
ポポルコ王子の死がプアア王妃によって起こされたものであると分かり、チーリエ国王は彼女のことをもはや王妃と扱おうともしていなかった。
彼女は息子を殺した上にあのような場でナタリー王妃に対して暴言を吐いたのだ。現在はエンポリー連邦の代表という椅子に座っている彼ではあるがチーリエ王国の王妃の行いで周辺国家との軋轢が生じたいまそれは時間の問題となっていた。
あの場にエンポリー連邦の関係者もいたため、プアア王妃の行いはもはや隠すことなど不可能と言えるだろう。彼女の浅はかな行動で息子も、自らの地位も何もかも奪われそうになるチーリエ国王はあの場では多少は取り繕っていたものの、プアア王妃に殺意さえも抱いていたのだ。
「こんなことになって、どうするのですか!このままではエンポリー連邦全体が近隣諸国からバッシングを受けてしまいますよ。」
「そうです、王子殺しを他国の責任にしておいてそれが自国の王妃の責任でした?そんなもの笑い話にすらなりませんよ!」
チーリエ国王の予想通り、どこからかプアア王妃の行いを知ったエンポリー連邦の残り2カ国の国王たちによって緊急の会議が開かれたのだ。会議の内容はもちろん、プアア王妃の行いに関してとチーリエ国王が近隣諸国に送った書状の内容に関してである。
彼らはこのままの現状ではチーリエ王国の失態でエンポリー連邦全体が近隣諸国から批判を受けると危惧していたのだ。
「今回の件は大変申し訳ない、まさか妻があのような行為に及んでいたとは思いもしなかったのだ。」
「申し訳ないで済むわけがないじゃないですか、そもそも聞きましたよ。あまり死んだもののことを悪くは言いたくないですが生誕祭の日にはプアア王妃だけではなくポポルコ王子もナタリー王妃に対して信じられない発言をしていたそうではないですか。」
「しかり、あなたの妻だけでなく息子までがそのような行動に至るのはあなたの教育のせいではないですか。一体貴国ではどのような教育を行っているのか、程度の低さが知れますな。」
2カ国の王たちは現状に対する怒りからかチーリエ国王の教育に関してまで非難を始める。しかしながら、ポポルコ王子もプアア王妃の行いも事実であるため彼は何も言い返すことが出来ないのであった。そんな彼に調子を良くしたのか彼らは様々な要求を突き付けることになる。
結果的にチーリエ国王はほとんどの要求をのむことになってしまいチーリエ王国は向こう数十年、エンポリー連邦の代表になる権利を失い、連邦の中での発言権などほぼ無いものとなってしまうのであった。
もちろん、会議を終えたチーリエ国王はこのような事態を生み出したプアア王妃のことを許しておくはずがない。彼はすぐさま彼女の元へと向かうことになるのであった。
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