第274話 冤罪の証明

「ちょっと待ってくれ、そこがよく分からない。どうして君が作れば問題が無く、これが作ると問題が出てくるんだ。」


「量に問題があるんです。その材料はスプーン一杯も食べれば体調が悪くなるほど少量で症状が出てきます。私はそのことを知っていましたから使用する際には極めて少量しか使用せず、皆様にも個数制限をかけさせていただきました。


しかしながら盗んだ材料で作ったのであればそのような危険性など全く考慮せずに適当に材料を配合させ作ったのでしょう。スプーン一杯でも多いということを知らずに大量に入れてしまったんです。


結果的には本来のハンバーグに入っている量の何百倍もの量をポポルコ王子は摂取してしまい死に至ってしまったのだと考えられます。むしろプアア王妃は死に至らずに幸運であったほどだと言えます。」


クレハがすべてのことを話し終えると周囲の貴族達は納得したと言ったような表情と共に盗みをしたことで息子を死に至らしめたプアア王妃に対して本当に情けないと卑下するような表情を浮かべていた。


「あぁ、あぁ、何ということだ、そんなことで、そんなことで息子は死んだというのか。なんということだ。」


チーリエ国王は彼の死の真相を知り本当に情けなく、悔しい思いでいっぱいになり、立っているのもやっとなのかふらふらとし始めている。


もちろん、この会場にいる人間は先ほどのクレハの話が真実だと疑っていないが一人だけそれを真実だと認めるわけにはいかない人物がいた。


「ふざけるんじゃないよ!そんなの作り話に決まっている、お前が盗まれると分かっていてハンバーグの材料に毒を紛れ込ましておいて私たちにわざと盗ませたんだろ!恥を知れ、この人殺しが!」


そもそも、ハンバーグの材料を盗むという結果に至ったのはプアア王妃たちが原因であるうえに、ハンバーグを販売していた店舗は王都でかなりあったのだ。その中で犯行となる現場を予測し、ピンポイントで材料の中に毒を仕込むなどまず、不可能だろう。


プアア王妃の発言は誰がどう聞いても筋が通っていないものであったのだ。


「もういい、お前にはうんざりだ。そんなことが不可能なことくらい子供でも分かることだろうが!ウィンズス国王、申し訳ないが今日はこれで失礼させてもらう。私はこれからやらなければならないことが数多くあるのだ。


それからナタリー王妃、ビオミカ男爵、本当に息子とこれが失礼なことをしました、申し訳ない。正式な謝罪は後日、必ず行わせてもらいますので今日はどうか失礼することをお許しください。


最後に、ここにご集まりの皆様、私が先日送らせていただきました書状は現時刻をもって撤回させていただきます。内容がすべて偽りであったことを認め謝罪いたします、お騒がせして本当に申し訳ございませんでした。」


今回の事件がコーカリアス王国には一切非がなく、プアア王妃に全責任があると理解したチーリエ国王はこの場にいる全員に謝罪をするとプアア王妃を引きずりながらエンポリー連邦の関係者と共にこの場を去るのであった。


こうして、ポポルコ王子の殺害容疑はプアア王妃の責任であったということが周辺国家にも広がりコーカリアス王国の疑いは晴れるのであった。

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