第272話 開き直り

「そもそもプアア王妃はご子息を殺されたと言いますがそれも間違いなのです。」


「はぁ!そんなわけがないでしょう、息子はこいつらが作ったハンバーグを食べて死んだのよ!」


ウィンズス国王がそもそもの間違いをプアア王妃に対して指摘すると彼女はそんなはずがないと真実に目を向けずに未だにナタリー王妃に対して敵意を向けている。


「ですから先ほどから言っているようにこのハンバーグは少量を食べたところで全く無害なんですよ。それよりもナタリー王妃に暴言を吐いたことはチーリエ国王にバレてしまったんですからこの際教えて欲しいのですが、ハンバーグを販売していた店に入った強盗とはあなた達なんじゃないですか?


私の優秀な部下が調査を行った結果、あなたのお付きのものが強盗に押し入っているのを見たという情報を掴んだのですが。」


ウィンズス国王が確信に至ったように尋ねるとプアア王妃は悪びれる様子など全く見せずに既に色々バレてしまっているのだからそこまで調べられていたら嘘をつく必要がないと自身が強盗に入ったことを自白する。


「はっ、そうだよ。どうせそこまで聞いてくるってことは確信しているんだろ、それならしらばっくれたところで意味はないからね。そうだよ、こいつらがハンバーグをよこさないから材料を盗んでやったんだ、そうすれば自分でハンバーグ作っていくらでも食べることが出来るからね。」


ナタリー王妃に暴言を吐いていただけでは飽き足らずに強盗にまで押し入ったことを彼女が自白すると王妃の行いとは思えない行動に周囲の貴族達の驚きは最高潮に達する。


チーリエ国王は開き直り、さらに信じられない行いを自白する彼女の行動に歯を強くかみしめ怒りをこらえており、チーリエ国王と共にこの場にやってきたエンポリー連邦の関係者に至っては頭を抱え、倒れ込むものまで出てしまった。


「やはりそうでしたか、それで、確認なのですがその盗んだ材料を使用してハンバーグを作り、自分たちで食べたのですか?」


ウィンズス国王はここが最も重要な点だとでも言うようにプアア王妃に尋ねると彼女は何を当たり前のことを尋ねているんだと怪訝な表情で彼の質問に答えるのであった。


「何を当たり前のことを聞いているんだよ、ハンバーグを食べたかったから盗んできたっていうのに作って食べなければ意味がないじゃないか!」


「あぁ、なんということを・・・。」


すべてを理解したウィンズス国王は深い深いため息をつきながらプアア王妃を非難するような目で見つめ、黙り込んでしまうのであった。

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