第269話 名探偵ウィンズス国王!

「どういうつもりだ、ウィンズス国王!あまりにも不謹慎ではないか、私の息子がこのハンバーグによって殺されたことは書状でも話しただろうが。それを知っていながらこのようなものを出したのか!」


ハンバーグが全員の目の前に出され、真っ先に声をあげたのはエンポリー連邦の代表でもあり、チーリエ王国の国王でもあり、亡くなったポポルコ王子の父親でもある人間だった。


チーリエ国王は隣で我慢の限界を迎えそうだったプアア王妃を確認すると真っ先にウィンズス国王の非難を始めたのだ。


もちろん、このようなことをすれば今回の様にチーリエ国王かプアア王妃が声を荒らげることを予想していたウィンズス国王は全く気にした様子もなく話を進める。


「えぇ、もちろん知っていますよ。ですがあの時食べたハンバーグがどうにも忘れられず、我々の方でも試作してみたのです。ぜひとも皆様にも堪能していただきたいと思いましてね、ささ、冷めないうちに召しあがって下さい。」


「ふざけているのか!息子はこれを食べて死んだのだぞ、つまりこれは毒ということだ。こんなものを我々に食べさせようなど気でも触れたか!」


チーリエ国王はポポルコ王子の死因がハンバーグを食したことによるものだと伝えられていた。だからこそ、この目の前にあるハンバーグがただの毒物にしか見えなかったのだ。


もちろん、これはすべてウィンズス国王の計画通りだ、だからこそ彼は今にも笑い出してしまいそうな顔を隠すように後ろを向き、語り始めるのだった。


「おや、それはいったいどういうことでしょうか?私が出したものが毒?貴方こそ変な言いがかりは止めて欲しいものですね、各国の皆様がいる前でそのような発言をして間違いでしたではすまされませんよ!」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る