第262話 レッツ、クッキング!

「くくっ、あははっ、手に入れたわ。ハンバーグの材料を手に入れたわ!」


「ママ、やったね!これで毎日ハンバーグが食べ放題だよ。流石ママだね。」


「誠に大変すばらしいアイデアでした、流石としか言いようがありません。」


クレハ商会に入った強盗。その犯人であるプアア王妃たちはハンバーグの材料を盗み出すとすぐさま国に帰り仕事の成果を確認して悦に入っていた。


「ママ、早く料理人にハンバーグを作らせようよ!」


「そうね、お前、これを料理人にもっていきなさい。」


プアア王妃は従者に命じ、自分たちが持ってきた材料でハンバーグを作らせようとする。しかし、ここで問題が発生する、料理人も見たことがない材料で見たことがないものを作れと言われてもそれは無理な相談なのだ。


なぜなら、ハンバーグはコーカリアス王国の王都で生誕祭の為にクレハが開発した食べ物であり、チーリエ王国の料理人がその存在を知るはずもないのだ。


「というわけで料理人たちは見当もつかないと申しております。」


プアア王妃の従者が申し訳なさそうにそのことを伝えるとプアア王妃はイライラとし始める。


「それならお前が作れば良いだろうが!材料を盗んだ時にハンバーグだって見ただろうが。なんでもいいから早く作って来いよ。」


「も、申し訳ございません。すぐに用意いたします!」




「はぁ、一度見たからって料理人でもない私に作れるわけがないだろうが。料理長、とにかく肉料理で丸く固めて焼いたものだ。作りながら指示していくからその通りに作ってくれ。」


従者はそんなものは不可能だと愚痴りながらも料理長に協力を仰ぎ、ハンバーグを作り始めるのだった。


「あの、この粉は一体?どれだけ入れればいいのでしょうか?」


「ん?なんだこれは、料理長は見たことがないのか?」


「はい、私も長いこと料理人をしていますが見たことがありませんね。」


料理長が尋ねたものの正体はナツメグだった。クレハはたまたま知っていたためにその正体がナツメグと分かったが香辛料は高級品であることと基本的にこちらの大陸では流通していないため、料理長でさえそれが何なのか分からないでいた。


「とりあえずたくさん入れておけばいいだろう。よく分からんがたくさん入れておいて損はない。」


「はぁ、そんなものですか。でも、初めは入れすぎないほうが良いのでは?味が足りなければ調整していけばいいだけですし。」


料理長は味が分からないものを大量に入れるのはやめておいた方がいいと従者に助言するものの、それは聞き入れられなかった。


「ダメだ、王妃様と王子がすぐにハンバーグを作って来いとイライラされている。今はさっさと何かをもっていかねばならない。別にこの私が作ったというのだ、料理長は心配せずに私の指示通りに調理すればいい。」


「それでいいのであれば私は問題ないですけど・・・。それでは適当にたくさん入れておきますね。」


「そうだ、それでいい。これで王妃様もお喜びになるだろう。」


こうして、適当な配分で作られたハンバーグは完成し、プアア王妃とポポルコ王子の元へと運ばれるのだった。

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