第263話 急変
「お待たせいたしました。ハンバーグでございます。」
従者がプアア王妃たちの目の前に持ってきたハンバーグは見た目は彼女たちが王城で食べたものと瓜二つであった。これには、長い時間待たされ、イライラしていたプアア王妃たちも思わず驚きの声をあげ、従者をほめたたえる。
「ママ、僕たちが食べたハンバーグにそっくりだよ!」
「やるじゃないか、まさかここまでのものを出してくるとはこれで味がうまければ文句なしだよ。」
「ありがとうございます。ささ、冷めないうちにお召し上がりください。」
従者に勧められプアア王妃とポポルコ王子はハンバーグにかぶりつく。しかし、突貫作業で作ったハンバーグが美味しいわけもなく、見た目が良かった分、さらに残念に感じてしまい、先ほどの嬉しさは半減してしまう。
「悪くはないんだけどね、何というか、いまいちパンチにかけるんだよね。向こうで食べたハンバーグは食べた瞬間にドカンと来るものがあったんだけど。」
「ママ、もっと食べたいよ!味なんていいからもっと食べたい!」
「分かったわよ、とりあえず少しずつ配分を変えるなりしてもっと出してちょうだい。そのうちあれに近づくかもしれないからね。」
こうして二人はバクバクとハンバーグを食べ続けるのだった。二人の食事が終わって3時間ほどたったころだろうか、ポポルコ王子は自身の体調がおかしいことに気が付く。
「うっ、なんだ?先ほどから汗が止まらん。それに気持ち悪いな、うっ、おえっ。」
「王子、どういたしました!」
王子は胃に溜まっているものを吐き出すとそのまま倒れてしまう。ポポルコ王子の様子がおかしいことに気が付いたメイドがすぐさま医者を呼びに行き、王子の身が危険だと王妃へと報告に向かう。
「王妃様、緊急のため失礼いたします!こ、これは一体。」
メイドが王妃の部屋に向かうと先ほどの王子と同様に倒れ込んでいる王妃の姿が目の前に広がっていた。
「良いところに来た、すぐに医者を呼んで来い!」
倒れた王妃の元にいた従者は部屋にメイドが入ってくるのを確認するとすぐさま医者を呼んでくるように告げる。しかしメイドは何かに驚いているようで一向に動こうとしない。
「おい、何をしている!医者だ、早く医者を呼んで来い!」
従者がメイドに怒鳴りつけると彼女は従者にとって信じられないことを発言する。そのことに彼は思わずメイドに聞き返してしまうのだった。
「ど、どうして王妃様までこんなことに。」
「いったい何のことを言っているんだ?」
「王子もなんです、王子も王妃様の様に倒れてしまったんですよ!」
「嘘だろ、いったいどうして。と、とにかく医者だ、まずは医者を呼んで来い。話はそれからだ!」
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