第260話 逆切れという名の謎理論

「放せ!無礼者が、こんなことをして許されると思っているのか。」


「そうだぞ、兵士風情が僕たちに触れていいとでも思っているのか!」


王妃の命令で城の外に問答無用で連れてこられた二人は未だに暴れ続けている。しかしながらそれとは反対に二人を連れてきた兵士たちは終始無言だ。


そんな中、城から追い出されたという報告を聞きつけたのかプアア王妃に仕える者たちが駆けつけてきた。


「プアア様、ポポルコ様、ご無事ですか。おい、お前たち、この方をどなたと心得ているのだ、その手を放せ!」


「我々は王妃様の命で無礼者を連行しただけですのでそのような事は関知いたしません。それと、あなた方は王妃様の命で今後一切この城に入ることが出来なくなりましたので二度と足を踏み入れないようにしてください。」


「貴様、一国の王族に対してこのような態度、許されると思っているのか!」


プアア王妃に仕えている使用人たちは自身の主に対してぞんざいな扱いをした兵士に抗議の意を向けるがそんなものは知ったことではないと彼らは自身の持ち場に戻っていくのだった。


「面白いことを言う方達だ、それは自分の主に説教をしているのですかな。それでは、我々は仕事がありますので。」


「おい!このままで済むと思うなよ。プアア様、大丈夫でございますか。」


従者たちはプアア王妃たちを心配しているが突然城から追い出されたプアア王妃は未だに怒りが収まっていないようだ。


「大丈夫なわけがないでしょ!まったく、なんなのこの国は。」


「ママ、きっとハンバーグの秘密を探ろうとしたからだよ。あれはきっとこの国にとって貴重なものなんだ。あいつら、僕たちをこんな目にあわせやがって絶対に復讐してやる。」


「そうね、良いことを思いついたわ。あいつらのハンバーグとやらをうちで作って周辺国に売り出してやるのよ!そうすればあいつらが本来、手に入れるはずだった金を手に入れることが出来るわ。今からあいつらが悔しがる顔が思い浮かぶわね。クックックッ。」


プアア王妃はあそこまでおいしいハンバーグを自分たちで作ることが出来ればいつでも好きなだけ食べることが出来る上に、金儲けもできると考えていた。


「なんと、それは大変素晴らしいアイデアです。確かあのハンバーグは王都であれば何か所かで販売されています。人を雇い材料を盗ませましょう。材料が分かれば料理など作るのは簡単です、王妃様方に対して先にあのような扱いをしてきたのは向こうなのです。たかが材料を盗んでもなんということはございませんよ。」


「さすがママ、そうだよ、あんな奴らのものを盗んで何が悪いって言うんだ、僕たちの言う通りさっさと渡さないのが悪いんだ!」


「そうね、あいつらが言うことを聞かないのが悪いのよ。それじゃお前たち、さっさとやることをやって国でハンバーグを作るわよ。」


こうして、プアア王妃の逆切れとでもいう謎理論でハンバーグの材料を盗み出すことが決まってしまうのであった。

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