タすけテ
見たことのある天井
いや、「見慣れた」天井とでもいうべきか
腕には無数の管が繋がれ、
隣には自分の健康状態が事細かに表示されたディスプレイ
飾り気のない病室、いや、”研究室”
ふと、目についたある写真
一緒に写っているあの子はもういない
いや、あの子はもう〇〇〇にはいないはずだ。
いずれは自分も同じ道を辿るのだろう。
そう、どうせ俺らは使い捨てだ。
あくまで、データソース。実験体。
外の世界を見なくなってから一体どれほどの月日が経っただろうか。
つけていた日記は書かなくなった。
日記を書いても、そこに記される言葉は希望などではなく、
溜まりに溜まった絶望だけ
あぁ、実験の時間か
いつになれば楽になれるのだろうか
もはや、次に目を開けることが怖い
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どれほどの時間が経っただろうか。
目を開けるとそこに何もなかった。
そう、何も
写真も、腕につながった無数の管も、ディスプレイも
あの、「見飽きた」天井すらも
目の前にあったものは扉
見たところこの扉は一般的な民家の玄関の扉のようだ。
もう、現代では当たり前になった生体認証式の扉
無機質な扉は、どこか自分を受け入れているような気がして手を伸ばす。
生体情報が登録されていない扉は開くはずもない。
開くはずもないのに、
次に見た景色は玄関と居間に続く廊下。
そこには子供が一人いるだろう家族の靴と、
なぜか「あの子」の靴もあって
この先にあるもの、いや、いる人に無性に会いたくて。
あぁ、自分が欲しかったものはこのぬくもりだ。
やっ▽会う とが×きる。
お母さ お父縺ん ◆△★
暗転
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もう、この実験を終わらせてほしい
幾度となく見せられる幸福な”夢”
そこには、もう幸せはなくて
あぁ、だれか
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