星河学園大学教育学部
入学式
私と美乃里ちゃんは大学の入学式が講堂で行われるということで出席していた。その後、講堂から教室に移動すると授業の説明や履修登録の仕方などを聞いたが私たちは何を言っているのか全く分からなかった。私は分からないならばと莉沙に教えてもらおうと食堂に来てもらうことにした。
莉沙、履修登録の説明を受けたけれどどのようにやったらいいか分からないから教えてもらえないかな?
うん、いいよ。基本的には半期で22単位、年間で44単位取れるって決まっているからその中で1年生で取らなきゃいけない必修科目は勝手に組まれているよ。多分口で説明しても分からないと思うからパソコン室に移動しよう。
私と美乃里ちゃんは莉沙に連れられてパソコン室に向かった。
莉沙は2人ともパソコン付けるようにと指示されるがまま動かしていた。パソコンが立ち上がり星河学園大学のウェブキャンパスをクリックして自分のIDとパスワード入れるように言われて入力した。
私は莉沙、この後はどうしたらいいの?
この後は履修登録ってボタン押すと履修登録画面になるから後は半期で22単位になるように登録するだけだよ。
それたけ?履修はどうしたらいいの?
莉沙はそれは2人とも自分自身て決めなきゃダメだよ。だから綾咲と美乃里の履修が違うよ。別に2人とも同じ履修にして教え合うのもいいかもね。
私はひとまずクリック出来る所を只管(ひたすら)クリックした。ねぇ莉沙、同じ科目だけど違う先生なのはどうして?
それは同じ科目でもその教授によって研究していることが違うからね。簡単にいうと中学で理科といってもある先生は化学だけどある先生は宇宙に関することをやっている教授がいるからそこは自分が何を勉強したいかにもよって変わってくるかな。
美乃里ちゃんは莉沙さん、大学生活を送るにあたって注意する点とかありますか?
そうだね〜、大学は自分が学びたいものを学ぶ場所だけどそれだけを履修していたら卒業は出来ない。卒業に必要な必修以外にも選択必修でも何単位ずつ取らなきゃいけないものがあるから必修を取るのはもちろんだけど選択必修もいかに取っていくかが大切かな。合唱サークルの先輩から聞いた話だけど卒業単位足りていて卒業かと思ったら卒業出来なくてどうしてなのかみたら選択必修が1つ足りてなくて半年通っていた人もいるみたいだよ。
だからその先輩からもサークルや部活も大事だけどちゃんと勉強をするようにって再三言われていてね。綾咲、美乃里は教職取るってなったら尚更必修は早めに取っておかないと後で困ることになるよ。
私は不思議に思った。こんなに忙しい中、莉沙がサークルしているのはスゴいなと思った。
美乃里ちゃんは莉沙さんそんなに忙しいのにサークルもされていてスゴいですね。
美乃里、寧(むし)ろ逆だよ。これは先生になるにも会社で働くにしてもサークルや部活をしておいた方がいい。どちらにしても大学時代に頑張ったことはなんですかって聞かれた時にアルバイトって答えるのもいいけれどそれだけじゃなくて部活やサークルで頑張っていましたって答えた方が心象がいいからね。2人とも他に気になることはある?
私は右も左も分からないから莉沙と同じ科目を履修してもいいかな?
莉沙は最初は2人とも何も分からないし、どうやって勉強や課題をするか教えてあげるね。教養科目しか同じ科目取れないけれどそれでもよければ。
美乃里ちゃんは教養科目だけでも莉沙さんと同じ科目を履修させてください。莉沙さんがいるだけで安心するので。
そう言ってくれるなら私も嬉しいよ。2人みたいに志の高い学生ばかりじゃないよ。綾咲も美乃里も実際に講義を受けてみれば私の言っている意味が分かるよ。
私と美乃里ちゃんは莉沙にお礼をいって帰っていった。
学生生活
大学が始まって1週間が経って莉沙が何を言いたかったのか分かったような気がする。まだ1週間しか経っていないのにも関わらず講義に来ない人や出席を代理する人、そして講義に来ても教授の話を聞かずにゲームやスマホをしている人がいた。まだそれはかわいい方だ。中には1番前の席に座って堂々と弁当を食べたり、パソコンで他のレポートをするといった光景を見られて飲食や他のレポートをするならば別の所でやればいいのになぜこの講義のこの席に座ってする必要があるのか?そして酷い人は途中で退席をして講義が終わってからカードを通す人もいた。
よくはないがそれならば講義中に寝ていたりスマホをしている方がよっぽどまともだと感じていた。
講義後、美乃里ちゃんも同じことを思っているのか聞いてみることにした。
今の講義だけど美乃里ちゃんはどう思った?
美乃里ちゃんはまだ1回しか受けていないからなんとも言えないかな。綾咲ちゃん1回しか受けていないのにもう分かったの?
私も難しいなと思うよ。そうじゃなくて講義中にお弁当を食べていたり、他のレポートをしている人がいて気になって美乃里ちゃんはどう思ったのかなって。
美乃里ちゃんはたしかにそれは気になったね。綾咲ちゃん、私から言えるのは大学は勉強するもしないも自分次第だよ。何年生の人か分からないけれどテストやレポートで単位だけ取れれば卒業出来るからそれでいいと思っているのかなって見えたかな。私も綾咲ちゃんもあんな風にはならないように反面教師として受け取らないと。莉沙さんと一緒の講義で同じことしたら始めは優しく注意してくれると思うけれど途中から何も言ってくれなくなると思うよ。
私は同い年なのに美乃里ちゃんはしっかりしているなと思っていた。
大学にいる時、私は移動する時も食堂でお昼を食べる時もずっと美乃里ちゃんと一緒にいた。1人が嫌という訳ではないが寂しい思いをすることはなかった。外に出れば休みの間に新入部員を勧誘する部活やサークルからいくつか声がかかったが断って図書館に向かった。
図書館に入って私と美乃里ちゃんは音楽に関する書籍がないか見ていると莉沙と思われる人を見かけたが何やらレポートらしきものをやっている感じでとても声をかけられる雰囲気じゃなかった。
するとラインが鳴った。
「綾咲、今美乃里といるでしょ?いるなら声をかけてくれればいいのに。とりあえずこっち来て」
私は美乃里ちゃんにラインを見せて莉沙のいる席に向かった。
莉沙は本棚からこっちをチラリチラリ見るくらいならこっち来ればいいのにどうして隠れるの?
私は忙しそうだし終わってからでもいいかなって。
そんな気を遣わなくていいのに。もう課題終わったから食堂に行ってちょっと話さない?
そして3人で食堂に向かった。
莉沙は綾咲、美乃里ソフトクリームでも食べる?
美乃里ちゃんは財布を出すといいよご馳走するからお金はいいよ。
莉沙はソフトクリームを渡して3人で食べていた。
私はこのソフトクリーム美味しいねと話していた。
でしょ?ここのソフトクリーム好きでよく食べに来るよ。それより2人とも大学生活は慣れた?
私も美乃里ちゃんも慣れました。前に莉沙が言っていたことがなんとなく分かった気がする。
私、2人に何言ったっけ?
2人みたいに志の高い学生ばかりじゃないよって。この1週間見ていてマジメに講義を受けている学生もいれば講義中にスマホをしている人や寝ている人がいてさ。それなんてまだマシな方で1番前の席に座って堂々と弁当を食べたりパソコンで別のレポートしている人、スゴい人なんて講義中に抜け出して終わってからカードを通す人もいて驚いたよ。
莉沙は笑いながらもうそんな人いるとはね。2人とも反面教師としてちゃんとやらなきゃダメだよ。私がいる時に同じことしていたら最初は注意するけれど何回も繰り返したら何も言わないからね。
美乃里ちゃんが言っていた通りのことをなぞるように言っていて驚いた。
それよりも2人とも部活やサークルはどうするか決めた?
私は莉沙に質問した。まだ右も左も分からない中で大学生活始まって教職を取ろうとすると忙しいって小耳に挟んだけれどその中で部活やサークルって出来るの?
それは人並みの大学生活を送ろうと考えたら忙しいってなるけれど2人とも目指すのが教職を取って先生になりたいと考えているなら前にも言ったかもしれないけれど部活やサークルは何かしらやっておいた方がいいよ。それに私自身合唱サークルに入ってやっているからね。
私と美乃里ちゃんはもうちょっと色々見て部活やサークルはどうするか決めようかなって考えていて。
私が無理強いすることでもないし他にも魅力的な部活やサークルもあるから自分にあった所を選ぶ方がいいよ。合唱サークルに来てくれたら2人ともかわいい後輩として面倒見るし、優しい人たちばかりだから1つの候補ぐらいとして考えておいてね。
2人で翌日から部活やサークルを見て周ろうと話していた。
合奏サークルと合唱サークル
私と美乃里ちゃんは2人で部活やサークルを見て周っているとまるで講義のように同じような部活やサークルの名前が多くてどこかどんな活動をしているのか分からなかった。
私は美乃里ちゃんに莉沙が入っている合唱サークルに入ろうかなって思っているけれど美乃里ちゃんはどこのサークルに入ろうと考えている?
私も綾咲ちゃんと同じサークルに入るよ。
窓越しから音楽室を見ると莉沙の姿はなかったがみんな歌っているしきっとこのサークルだろうと音楽室に入ってこの日は歌ってそのまま飲み会に参加することになった。私はお酒を飲んで酔って覚えていないがサークルに入ると言ってしまったみたい。
翌日、私と美乃里ちゃんはお昼ご飯を食べようと大食堂に向かっていると莉沙を見つけた。
昨日帰りに音楽室で合唱したけれど莉沙いなかったけれどレポートで忙しくていけなかったの?
莉沙はキョトンとした顔で2人は音楽室行った?
美乃里ちゃんは行きました。久しぶりの新入生で嬉しいとそのまま飲み会に行って綾咲ちゃんがそのままサークルに入りますって言ってました。
なるほど、そういうことかと莉沙は笑っていた。
莉沙、笑っているけれどどうしたの?
昨日2人が行ったのは合唱サークルじゃなくて名前の似ている合奏サークルだよ。音楽室ってパソコン室の上にある音楽室に行った?
私と美乃里ちゃんは頷いた。
そこで活動しているのは合奏サークルで私の所属している合唱サークルはパソコン室の隣にある棟にある音楽室でやっているから2人とも講義が終わったらまた大食堂に来てくれる?
私はそれはいいけれど昨日間違えた合奏サークルに断りを入れなきゃいけないけれどどうしよう……。
綾咲、まだ紙に書いてないなら大丈夫だよ。私が事情説明してあげるから心配しないで。
講義の時間が近づいて私と美乃里ちゃんは教室に向かった。お昼からの1コマの授業を終えて莉沙にラインをするとしばらく待つように言われた。
綾咲、美乃里お待たせ〜。まずは合奏サークルに行って事情説明しにいこうか。莉沙、手間をかけさせてゴメンね。
いいよ、気にしないでとパソコン室の上にある音楽室に向かった。
莉沙は昨日新入生の勅使河原綾咲と谷川美乃里が合奏サークルに行かせてもらって飲み会まで開いていただきありがとうございます。ですがこの2人、合奏サークルじゃなくて合唱サークルに入りたかったみたいで歌っているからと間違えたみたいで……。勅使河原が酔って入部すると言ったみたいですが取り消してもらえませんか?
合奏サークルの部員は紙を提出してる訳でもないしそういうことなら仕方ないですね。部長には私から説明しておくので大丈夫ですよ。勅使河原さん、谷川さん2人とも合唱サークルで頑張ってね。また何かあればこっちに来て遊びに来てもいいよ。
莉沙と私は頭を下げてその場から離れた。
今度こそ莉沙の所属する合唱サークルにいけるのか。こんな間違いをしたなんて言ったらきっと笑われるだろうなと覚悟を持って莉沙について行った。
莉沙は足を止めて合唱サークルはここだよと音楽室の扉を開けた。
莉沙その子たちは?新入部員かしら?
はい、私のかわいい後輩の勅使河原綾咲とその友達の谷川美乃里ちゃんです。先輩方にもかわいがってもらえると嬉しいです。
私と美乃里ちゃんは頭をぺこりと頭を下げた。
綾咲は昨日パソコン室の上にある音楽室に行って合唱サークルだと思っていてそのまま飲み会に行ってサークルに入りますって言っちゃったみたいで私がその話を聞いて合唱サークルは別のところだよって説明して合奏サークルに謝りに行って来ました。
たしかに合唱サークルと合奏サークルっていう名前じゃあ間違えても仕方ないよね。私も同じ間違いをしていたから気にしなくてもいいよ。改めまして合唱サークル部長の
私はと様子を見て優しそうでアットホームな雰囲気のあるサークルでよかったなと感じていた。
大学のテストとは?
全15回の講義が終わり、テスト期間にレポートを提出する科目もあれば15回目にテストを行ってテスト期間中には行わない科目など様々ある。その中で私が驚いたのはテストで持ち込み可能なものがあり、これには驚いた。中学生や高校生の時にこれをやろうとしたらカンニングで全教科0点のうえに先生に呼び出されて叱責を受けるのにも関わらず大学に行ったらそれがいいなんて、思いもしなかった。もちろん全科目ではないものの今回私と美乃里ちゃんが履修登録した科目は持ち込みが可能な科目ばかりで勉強に費やしたのは持ち込み不可の科目しかしていない。そしてもう1つ驚いたのは中学や高校はどれだけ早く終わっても分からなくても時間内はいなくてはならなかったが大学の場合は途中退席が認められる。これにより持ち込み可能な科目で早く終わった科目や勉強して分からない科目は捨てて早く退席して別の科目の勉強も出来る。結局どうするも自分の裁量になってくるのだと改めて感じた。
私と美乃里ちゃんはお昼に大食堂に向かった。
綾咲ちゃん、美乃里ちゃんお疲れ様〜。どこからか私たちを呼ぶ声が聞こえた。そこには合唱サークルの部長、里莉さんがいた。
里莉さんお疲れ様です。お昼ご飯一緒に食べてもよろしいですか?
うん、いいよ。2人の話も聞きたいし。
私と美乃里ちゃんはランチを持って里莉さんのもとに行って座った。
里莉は2人ともこの後テストはある?
美乃里ちゃんは5時間目に1つ残っているだけなのでしばらく時間があります。それも持ち込み可能な科目になっています。
私は里莉さん、聞いてください。驚くことが多くてビックリしました。
綾咲ちゃんが驚いたことってどんな事?
15回目の講義でテストやったり、途中退席が可能というのと美乃里ちゃんがさっき言ったことと重複しますがテストに持ち込み可能っていうことがあって中学や高校でそれをしたらカンニングで呼び出されてもおかしくないのにそれが可能ってことに目が点になりました。
里莉は最初はやっぱりそうだよね。2人とも持ち込み可能な科目があってラッキーだと思うけれどだからといって侮(あなど)っていたら落とすこともあるから持ち込み可能な科目にもちゃんと時間を割いて時間をかけて勉強はしておいた方がいいかな。
私と美乃里ちゃんは肝に銘じますと次のテストがある教室に向かい持ち込み可能な科目の復習をしていた。周りを見渡すと勉強している人と全くしていない人と分かれていた。
「問題は今回の講義で学んだことについて原稿用紙2枚にまとめなさい」
私はなんともアバウトな問題だなと思いつつもノートに書かれているテーマを1つ選び、ある程度まとめてから解答用紙に記入して途中退席して美乃里ちゃんが出てくるのを待っていた。
美乃里ちゃんが出てきて2人で合唱サークルに向かった。だが誰も音楽室も空いておらず誰もいなかった。私は莉沙にラインをした。
しばらくしてテストを終えた莉沙は音楽室にやって来て2人ともテスト期間中は基本的にサークルはないよ。学生の本望は勉強だから2人ともどこかで勉強するように。私は美乃里ちゃんと顔を見合っていた。
莉沙はその雰囲気は勉強分からない感じだね、図書館で教えてあげるから一緒に来て。
3人で図書館に移動した。するとそこには里莉さんがいて莉沙から勉強教えて欲しい悩める子羊ちゃんがいるって聞いたから図書館に来たよ。
私と美乃里ちゃんは莉沙と里莉さんに勉強を教えてもらい気づいたら陽が暮れていて4人で駅近くのイタリアンでご飯を食べて帰っていった。
全科目のテストが終わり、これでまたサークル活動が出来るとウキウキしていた。
数日後、グループラインでテストお疲れ様会が近くの居酒屋でで行われて全員参加して私と美乃里ちゃんはまだ未成年のため、ノンアルコールを飲んで合唱サークルの人たちとの交流を深めた。
8月から夏休みになり、最初のサークルは里莉さんの提案により誰が伴奏で指揮をするかという話になった。莉沙は伴奏をしたいとなり、指揮は綾咲を推薦しますと言われた。高校時代は主に伴奏をメインにやっていたが指揮の経験があまりなかったのでお願いしますと頭を下げた。
そして伴奏福満莉沙、指揮勅使河原綾咲でスタートすることになった。朝から晩まで音楽に携われることに喜びを感じてお昼はみんなで大食堂で食べるという感じでみんなで楽しく合唱していた。
お盆が過ぎた頃、テストの結果が発表されて全教科単位取得となるフル単で幸先のいいスタートを切った。
夏休みで空いていればと思い、私は美乃里ちゃんと莉沙そして里莉さんの4人で出かけたいと話した。
3人仲がいいのに私もいいのと里莉さんからラインが返ってきた。
私はどちらかというと里莉さんにオススメのお店があって紹介しようと思うのですがどうですか?
里莉さんはそういうことならいいよ。みんな車の免許持っている?
この時私、美乃里ちゃんは免許を持っていなかった。多分莉沙は持っていると思いますが私たちは……。
それならみんな杜端駅に来て。ドライブしながらそのお店に行こうよ。私はいつでもいいからみんなに聞いてみて。
私は美乃里ちゃんと莉沙にラインで尋ねた。
莉沙はいつでもいいよ。美乃里ちゃんは里莉さんに任せるといって再び里莉さんにラインを送った。
それなら明日のサークル終わったら一緒に着いてきて。そのお店を案内してもらうからさ。
サークルが終わり私と美乃里ちゃん、莉沙の3人は里莉さんについて行って車に乗り込んだ。杜端キャンパスから近いのは洋菓子屋に行ってみんなでいちごシュークリームを頬張った。
里莉さんは他に行きたいところがなければこのままドライブに行くけれどどうする?
私と美乃里ちゃんは顔を見合って頷いた。私はちょっと遠いけれど星河駅の近くにお肉屋さんがあってそこのコロッケが絶品なので是非とも里莉さんに食べてもらいたいなって思うのでそこに行きましょう。じゃあそのお肉屋さんに行こうか。
里莉さんはナビを星河駅にセットして車を走らせた。走ること1時間、星河駅に車を停めて4人でお肉屋さんに向かった。
お肉屋さんの店員さんは綾咲ちゃん、美乃里ちゃん久しぶり。大学生になってもホントに来てくれるなんて嬉しいよ。今日はどういう知り合い?
大学の先輩の福満莉沙さんと島辺里莉さんです。
美乃里ちゃんは特にここの牛肉コロッケが絶品なので是非とも食べてみてください。それかメンチカツ、カニクリームコロッケ、かぼちゃコロッケそれぞれ1つずつ注文して食べあいこしますか?
里莉さんはそれなら4つの味が楽しめていいねと注文してみんなで食べ回しをしていた。
その後車に乗り込み莉沙はどこか行きたいところない?莉沙はみんなで喋りながらドライブしたい。
綾咲ちゃん、美乃里ちゃん後はドライブでいい?
私たちはお願いしますと頭を下げた。
それからしばらくドライブでガールズトークをしているとあっという間に陽が傾いて再び杜端駅に戻ってきた。3人とも今日は楽しい時間をありがとう。また誘ってくれたらどこか行こうねと優しく声をかけてくれた。
全国から依頼
夏休みに入ってサークル漬けになった私は毎日が楽しくて仕方がなかった。ある日部長の里莉さんからある発表がされた。この長期休暇を使って全国各地の商業施設や交流館、幼稚園から歌って欲しいから依頼があるから参加しよう。歌でみんなに元気を届けようという提案がされた。
私と美乃里ちゃんはまだそこまで忙しくもないこともあり参加することを表明した。教育学部でも全員が先生に進む人ばかりではなく、普通の会社に就職する人もいて中には既に就職先が決まった4年生や教育実習に行く前に最後の思い出作りに行こうという人がいて全員で20人が参加することになり、2日後出発で2泊3日で車4台で行くことに決まった。
私と美乃里ちゃんはまだ車の免許を持っていなかったため終後部座席に座り飲食をしてみんなでワイワイ喋っていて何だか申し訳ない気もしたが先輩たちは楽しそうでいいね。こっちまで元気貰えるよ。
京都を出た私たちはまず四国にある徳島県の阿波交流館で行われている催し物をやっている一環で私たち星河学園大学として歌わせてもらった。みんな優しくてノリノリで乗ってくれる人もいて伴奏の莉沙、指揮をしている私も楽しくて歌っている部員たちの表情を見ていてとても楽しそうだった。
終わってから高速道路に乗って近くのサービスエリアに立ち寄ってお昼を食べてついでに徳島名物のすだちアイスを食べて次の目的地香川県にある商業施設に向かった。
車を走らせること2時間、商業施設に着いた。
私たちは従業員さんに今日歌わせてもらう星河学園大学の者ですと部長の里莉さんが挨拶をした。
時間になったら携帯で呼びますのでそれまで好きにして頂いて大丈夫ですよ。もしピアノ弾かれるのであれば来てもらえれば弾くことも出来ますよ。
この話に莉沙は本番1発で大丈夫なのでこの辺りを探検させてもらいます。時間までみんなで商業施設を見て周っていた。ある洋服屋に立ち寄ってみんなでこの服かわいい買うかどうか考えていた。
しかし里莉さんのスマホが鳴ってそろそろお時間ですよと電話がかかってきて服はまた後でゆっくり見て買うかどうか決めることにした。
徳島の阿波交流館みたいに色々披露する中の1つという訳ではなくこの商業施設では星河学園大学合唱サークルの為にわざわざピアノを用意して下さり、大学サークルの為にここまでしてくれるのかと思っていた。私はそしてお客さんが集まるのかと不安になっていた。
莉沙はピアノに座って私は指揮を振った。みんなが楽しく歌っていると疎(まば)らだったお客さんが何か物珍しさから人が集まって来た。歌い終わると盛大な拍手をしてもらい伴奏の莉沙、指揮の私、歌っている部員みんなでお客さんに向かって一例をするとアンコールが飛んできた。アンコール飛ぶとは誰も想定しておらず私は莉沙に何を歌うか聞いた。
とりあえずみんなが知っているポップスを歌おうとなって綾咲はとりあえず指揮を振って。私が弾くからそれに合わせて指揮して欲しいと頼まれた。急なアンコールに伴奏を弾いている中で指揮をするなんてそんな融通が利くほど上手くないのにと思いつつも会場のボルテージは上がっていた。
私も含めて歌う曲は莉沙しか知らない。こんな状況でみんな歌えるのかと不安になっていたがとりあえずポーカーフェイスで指揮を振った。するとみんな何を歌うかも知らされていないのに歌えている、合唱サークルの一体感を感じることが出来た。
里莉さんはもうアンコールしてもありませんよと言わんばかりにこれにて星河学園大学合唱サークルの合唱を終わりますと再び一礼をして私たちは会場から
歌う前に見ていた洋服屋に戻ってみんなでどの服にするか悩んでいて里莉さんは何着かワンピースを試着して私にどれがいいかと委ねられた。どれもかわいい色合いだしどれも似合うが全部という訳にもいかず咄嗟に明るいレモン色のワンピースが1番似合いますと答えた。
やっぱり?水色もかわいいと思うけれど綾咲ちゃんがレモン色が薦めてくれたからそっちにするね。私はそっちの色を選ぶべきだったかなと思いつつも里莉さんが嫌そうな顔をしていないし嬉しそうだならよかったのかなと少し申し訳ない気もしていた。
この日は2つの場所で歌を披露して私たちは香川にかる旅館に向かった。チェックインを済ませて浴衣に着替えて晩御飯の時間まで1つの部屋でワイワイ喋っていた。
時間になるまでみんなでお風呂に入って疲れを取っていた。
食事の時間になり里莉さんが乾杯の音頭を取った。
「皆さん今日はお疲れ様でした。まだ1週間の初日ですが沢山の人に私たちの歌を聞いてもらって喜んでもらえたと思います。それは伴奏の莉沙、指揮の綾咲ちゃんのおかげです。明日以降も頑張りましょう、乾杯」
みんかで乾杯をして夕食は部屋で豪華なメニューで刺身や地元料理に名物のうどんを頬張っていた。
私は莉沙に1つ質問をした。
アンコールの時に伴奏を弾くからそれに合わせて指揮をして欲しいって言っていたけれどあれじゃあみんな何を歌うかも分からないのにみんな歌う曲知っていたかのように一体感を感じたけれどどうして?
それはアンコールがあった時のための曲として用意してあるからだよ。あれ、綾咲に教えてなかった?
知っていたら今の質問はしないでしょ。美乃里ちゃんも初めてなのによく歌えたね。
莉沙さんの伴奏を聞いてあ、この曲知っているってなったから歌えただけでそうじゃなかったら歌えなかったよ。私たちにも教えて欲しかったです。
里莉さんは莉沙にこういうことも想定しておいて2人にも説明しておかなきゃダメだよ。綾咲ちゃんもポーカーフェイスで指揮振っているし美乃里ちゃんも問題なく歌えてたから莉沙から教えたと思っていたらまさか教えていなかったとは思わなかった。
晩御飯を食べたあと、みんなでトランプでババ抜きをして負けた人は好きな人もしくは好きなタイプを言おうとなって20人を5グルーブに分けてビリだった人が5人が競うっていうのはどうかと莉沙が提案した。
予選を行って決勝の4人が決まった。
私、美乃里ちゃん、莉沙、里莉さんと決まった。
こういう場合、大体が言い出しっぺが負けると相場が決まっている。私たちは4人は意地でも負けないとポーカーフェイスを貫いていた。ババは1巡しても誰も表情を変えずに淡々と進んでいき4人のカードはどんどんなくなっていった。
この中で1位抜けは美乃里ちゃんで2位は里莉さんとなって最終決算は私と莉沙の勝負となった。私たちは静かにやりたいが周りはどっちが勝つのか、どっちの好きな人や好きな人のタイプを聞きたいかなどで盛り上がっていた。私はかき乱されないように集中してババ抜きに臨み2枚のうち1枚のカードを引いた。よし、ビンゴとガッツポーズをした。
ビリオブビリは莉沙に決まったことによりみんなは好きな人は誰なのか?どんなタイプなのかと楽しみにしていた。
莉沙は負けたのは私だから言うね。今、好きな人はいないから好きなタイプを言います。私の好きな人のタイプは優しい人です。
周りからはそれだけ?優しいなんて抽象的すぎると告白したのにも関わらず避難されてもうちょっと具体的に答えるように催促されていた。
莉沙は再び優しい人でかわいい笑顔の人ですと答えるとそれならいいよと許可が出た。じゃあ次綾咲と指名されて私は何事にも前向きな人がいいと答えた。次に里莉さん、美乃里ちゃんと続いて結局みんな好きなタイプを答えることになった。
この日は恋バナで夜が明けるまでずっと喋っていた。2日目に高知や愛媛、3日目には関西を周って滋賀に帰って来た。
私はホント合唱サークルに入ってよかったと感じた。
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