第14話アニメの超兵器

「残念ながらあたしもそこまでは。でも、テレスコープに入った時にすべてが見えたの。正確にいうといざないの結合テストに参加した時ね」

複雑なシステムはアニメの超兵器のように「こんな事もあろうかと」土壇場で作動できるものではない。本番稼働前にまず、部分部分で開発とテストを綿密に繰り返す。そして、単体として問題ないと判断されたのちにパーツを組み上げて結合テストを行う。いざないのファーストライトを催すにあたってリハーサルを周到に重ねるのは当然の事と言えよう。

「そこで優実を見出したんだな。俺は優実と結婚するのか。結婚してどうなるんだ。子供は?」

信也が必死に問いただすと、沙月は曖昧な笑みで言葉を濁した。そして、ただ一言。

「奥さんの時間線を大切にね」

そう言い残して闇に消えた。


◇ ◇ ◇


「冗談じゃない! 冗談にも程ってもんがあるだろうが!!」

信也は病院に戻らず、ありったけの所持金をかき集めて酒場に繰り出した。アルコール依存症は恐ろしい病気だ。たがが外れると簡単にリバウンドしてしまう。

「うるっせえ!」

カップルに口から出まかせの因縁をつけ、ビール瓶の底を叩き割り、通りすがりの女にサンマ傷をのこした。


「やっぱり、こうなってしまったの…」

荒れ狂う信也を遠巻きに見守る父と娘がいた。

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