第7話何だとこの野郎!


「何だとこの野郎! 聞き捨てならない事をいってくれるじゃねえか」

生あくびをかみ殺し、別れて以降の香奈の境遇をあれこれ妄想していた信也はガバと身を起こした。

面倒くさい、どうでもいいと表面では反発しながらもどこか心の部分が香奈に向いていた。それが証拠に耳が香奈の講義内容をしっかり捉えている。

「あ、信也君。ごめ…」

優実はハッと我に返り、彼氏を放置していた自己中を詫びた。だが、信也は何を思ったのか無言で席を立った。

量子的引き寄せとやらが事実であれば俺の想いで沙月を取り戻せる。彼女が何と言おうと、周囲がどれだけ反対しようと、事務所が法的措置だの何だのチラつかせようと、距離を一気に縮められる。

彼は確信した。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る