ガセネタ捜査本部

とにかく出てくるわ出てくるわ物的証拠、自白調書、目撃情報、協力者の供述、家族に説得されて自首、犯行予告、計画書、関与をほのめかすブログ。

成田家と縁がありそうでなさそうな容疑者が続々と挙がった。

爆発事故が起きた漏油町ろうゆちょうのほぼ三人に一人が

「なんとなくわかった。ここの署長は昔からこうだ」

「え、今の署長さんと何か関係あるんすか」

「いや。それはお前が見つけてくれたことだ」

「え、ええー…」

「だが、これらの情報よりもその人の持ってる情報は重要だ。なんなら教えてくれてもいい。お前が行け」

「なんかすみません…。えっと今日から俺は刑事になります」

「そうか。じゃあ、これからよろしくな」

署長が俺と取引するとは思わなかった。だが、こうでなくちゃ俺はダメ。こういうときこそ刑事であり刑事であり俺の師匠であった。いや、署長だ。署長と取引するという自分の役割に誇りを持っている。

「はい…、よろしくお願いします」

「俺たちみたいには言いにくいが…、それはこの事件は終わってしまったからだ。だが、この事件は未だ終わってない。もう一つ重要な事がある」

「何ですか…」

「大至急、もうひとつの捜査がある。それを今からやる」

警察大学で聞いた話を思い出しているのだろう。新米は何かに納得している様子だった。

「はい。じゃあ、何ですか」

「この事件をもっと多く扱って、それで納得できる人間を集めようと思っているんだ。だから、お前が捜査に協力して、またそれによって捜査から追い出されそうな人物を一人にしてほしいんだ」

「えっと…」

「とにかく、その人物も俺たちの協力者だ。協力者の人間を増やした上で捜査を行えば解決する。とにかくお前を俺たちの協力者として認めれば何とかしてくれるはずだ」

「わかりました」

「よろしい」

「すいません。俺、署長になったのに署長には…」

この俺が…。

署長、本当に上司として認めてくれるんですか。今からこの上司を支え、これまでのように扱ってくれるんじゃないっすか。

「…これ、俺が勝手に思ってるだけだから。署長に対して失礼だと思ったんだ。本当にごめんな」

「いいえ、気にすんな」

「はい」

「では、早速お前を警察の一員として認めてほしい。協力してもらおうじゃないか。この男、俺の協力者だ」

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