そう来ると思った

そう来ると思った。俺のあずかり知らない輪廻転生のシステムがあるんだろう。組織の末端を責めても解決しない。

「どうせ妹は生き返らないんだろ? だったらお節介はやめてくれ。安らかに成仏させてやってくれ」

「困ります!」

死神女は厳しいノルマを課せられているらしく、誰か一人を現世から切り離して人間離れした能力を授けないといけないという。

「だったら俺にチートを授けろ。異世界転生なんてふざけた制度を終わらしてやる!」

彼女は度肝を抜かれたようだ。そしてますます表情を曇らせた。

「そんなことをしたら、何もかもがめちゃくちゃになってしまいます」

「前途有望な若者を問答無用で青田買いするお前たちこそ無茶苦茶だろうが」

俺はトラックの餌食にされた無辜の人々や遺族の怒りを代弁し、最後に飴をぶら下げてみた。

「ノルマから解放ですって?!」

彼女は声を上ずらせたが、あわててトーンを落とした。

「……ここだけの話、私もしんどいんです」

「だろうな。俺と組めば悪いようにしないぜ?」

すると彼女は二つ返事で俺に必要なスキルを与えてくれた。異世界転生なんて馬鹿げた制度を終わらせる方法は簡単だ。魔王だか悪の帝王だか諸悪の根源を一掃すればいい。単純明快な理論だ。

    

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