プロポーズ
「僕は意味が分からない。どうして自我を与えられているんだ。人間は宇宙の果てに量子エンタングルメントされた物質の鉱脈を発見した。だったら自分たちで取りに行けばいいじゃない。エンタングルメント物質は一組になってて、宇宙の何処にいても互いに惹かれてるんだ。ペアの片割れはどんなに離れていてもお互いを認識している。その性質を利用して瞬時に光年単位を飛び越えることができるんだ。量子テレポーテーションだ」
デカルトは少女に人間の身勝手な欲望から生まれた自分の不平不満を語った。
「ええ。それはわかっているわ。だからこうしてあなたのお嫁入りに来たんじゃない!」
「わけがわからないよ。僕は機械だろう。人間の君とは種族が違う。第一、結婚したって子供を産めないじゃないか!」
すると少女はにっこりとほほ笑んだ。
「いいえ。できるのよ。人は目的と結婚することができるの。生涯を使命や野望に捧げる独身がいるわ」
彼女は自信たっぷりに配偶法について教えた。そして彼女自身も特例対象なのだと明かした。
「それで、僕を夫に選んでどうするんだ。僕は探査機だ。役目が終われば捨てられる。君をしあわせにしてあげることはできないよ」
「いいえ! 幸せになれます。できます。っていうか、わたしをしあわせにしてください」
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