シリアルキラー
夕方のワイドショーは特報で沸き返っていた。どのチャンネルを回してもホステス殺しの話題だ。事件は連続殺人に発展した。犯行の一部音声が匿名で週刊誌に投稿され、同僚の黒岩美佐子が加担した疑いが強まった。関係当局からの発表はまだない。番組はナーロッパ教とテンプレ寺院の関係を解説している。
「これで安永富雄もお終いよ」
沙希はキッチンで茄子を揚げている。「それでお前は秀美と沙耶が戻ってくると?」直哉は半信半疑だ。逆世川の流域にはテンプレ教徒の住居が点在しており近年は蔦蔓市の転入者が増えている。沙希ことキースは下界のパソコンを難なく操ってエクセルシートを作った。川沿いの新居がすべて転生信者という証拠はないが流入者の増加と新居の軒数がほぼ合致する。
「いつの時代もどこの国も時の権力は勢力拡大を危険視するわ。公権力の行使も時間の問題。ほらあなたお皿を並べてちょうだい」
鼻歌交じりの沙希に直哉はぎょっとする。「貴方って、俺は女房子供を…」
すると、沙希は瞳を潤ませた。「ええ、あと少しだけ奥さんでいさせて」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます