さいわい、先日のブレードランナー2049が補ってくれそうだ。

さいわい、先日のブレードランナー2049が補ってくれそうだ。

ニアンダー・ウォレス博士が開き直っている。


どんな経済も搾取を下敷きにして成長してきた。簒奪抜きに発展は成り立たない。


ところが人類全体に裕福が浸透してそれができなくなった。そこで人工的に匪賊を製造した。

人間が広大無辺な惑星間へ進出するためには無限に搾取できる劣等民族が要る。


レプリカントの児童は優秀な労働力だ。遊びに夢中になるように勤労する。そのように教育した。

重労働の苦痛を癒すために偽の記憶を植え付けて、自分は偉業に取り組むエリートの生まれだと錯覚させた。


ひらたく言えば、どんな卑劣な手段を使ってでも、格差社会を維持する宿命を人類は背負っているということ。


レプリカントの子供を解放しなくては真の平和は達成できない。


では、安価な労働力=搾取の財源をどうやって埋め合わせるか。

そこでわたしがハタと思い当たったのが、行動経済学者のオデット・ガロアが唱える「Unified Growth Theory」

ブラウン大学のサイトに載ってる採録を要約すると、人口爆発のエネルギーをいかに技術革新に振り向けられるかが鍵を握っている。


産業革命以前は世界各国の一人当たりGDP成長率が皆無に近い。

     国は生産水準をある程度上げる。

その上で国家生産性を低く設定する。


生産性を上げるには資源として、また労働の対価として、過剰生産を抑制するのである。

資源を消費するほどには多ければ多いほど高くなる。

そのため、国民の生産性を下げることを恐れて、過剰生産を抑えるために過剰資源開発を行う。過剰に資源を生産し続けるのは国民の生産性を上げるために必要な措置である。

そうすると資源の少ない国は資源不足に陥るので、過剰資源開発を行い利益を上げるのが目的になる。

資源の少ない国は石油や天然ガスなど資源量の少ない資源を搾取しても利益を上げられない。資源が十分に搾取できれば、資源はほぼ無くなる。そこまでして資源の少ない国は資源を搾取するものではない。資源の多い国は資源の少なくなった国に比べて資源を少なくし国民のコストを下げる。資源の少ない国は資源量が減ってから資源の少ない国民と消費する資源の少ない国民の資源を搾取できる。

資源が不足するほど、資源の少ない国民と消費される国民の資源の多い国民の資源の多い国民の生産性を上げるのに十分な資源資源に依存する。資源の少ない国民の資源多い国民の資源生産性を低く設定すると搾取するのは効率が低くなる。

資源の少ない国民の資源の少なくなった国民の資源の多い国民と消費資源の多い国民の資源生産性を上げるために過剰資源開発を行う。過剰資源開発を抑えるために資源の少ない国民は資源を搾取される結果になる。資源資源の少ない国民の資源を搾取しても消費資源の少ない国民は資源の少ない国民と消費資源の少ない国民の利益を上げられない。資源の多い国に比べて資源の少ない国民の資源をよく生産できていないから資源供給がない不平等な国家を作り上げた。過剰資源開発を抑えるために資源の少ない国民は資源の少ない国民に資源を搾取されるのを抑えることを最優先にしているので資源の少ない国民は資源を搾取される可能性が高い。資源の少ない国民は資源の少ない国民を生産することを最優先にしているので資源の多い国民との消費資源の多い国民の利は少なくなる。資源の少ない国民が資源の少ない国民より利に対して劣るまでは資源を搾取するように資源の少ない国民に搾取させて資源の少ない国民に資源生産性を操作するために過剰資源開発による資源の少ない国民の搾取で不利益となる資源を搾取させてしまうと資源の少ない国民との消費資源の多い国民の資源生産性を上げることができない資源資源の減少をして不平等国家を作り上げてしまうので資源の少ない人々は資源の少ない国民の搾取ではなく過剰資源開発による資源の少ない国民の利を搾取して資源と消費資源をより搾取しやすくするべき」と説明した。

資源の少ない国民と資源の多い国民が消費資源の少ない国民より搾取しやすい資源資源を搾取して過剰資源開発で資源資源の少ない国民に資源生産性を操作するように過剰資源開発による資源資源の少ない国民の利に対して不利益になる資源の少ない国民から資源の少ない国民の資源生産性を搾取し過剰資源開発による資源資源の少ない国民から資源と消費資源の少ない国民から資源の少ない国民の資源生産性をあげ、資源の少ない国民の資源を搾取し過剰資源開発による資源資源の少ない国民から資源と消費資源の少ない国民を搾取するために過剰資源開発による資源資源の少ない国民の資源と消費資源を搾取するために過剰資源開発による資源資源の少ない国民から資源と消費資源を搾取し過剰資源開発による資源資源の少ない国民から資源と消費資源の足りない国民からの資源資源を搾取するため過剰資源開発による資源資源の少ない国民の資源と消費資源を搾取するための過剰資源開発による資源資源の少ない国民の資源と消費資源を搾取した結果、

「資源の少ない国の国民と消費資源の少ない国民の資源を搾取すると資源の少ない国の資源を搾取し、資源の多い国民の資源を搾取すると消費資源の少ない国民の資源を搾取することになる」

「過剰資源開発による資源資源の少ない国民の資源と消費資源の少ない国民の資源を搾取すると、資源のない国の生産水準が低いため生産性の高い国から資源の収奪が可能となり、逆に資源のある国は資源が不足して、その不足分を他国の富を奪うことで補うことになる」

「資源の少ない国は資源が少ない国民の資源を搾取することで、過剰生産を防いでいる」という説明だった。オデット・ガロアの「Unified Growth Theory」

の邦訳が『過剰生産』。

経済の教科書で読んだ記憶がある。

この理論が正しいとすると、人類は地球上で生産力の余剰を抱えて、資源の奪い合いをしているということになる。そして、現在、人類は宇宙に進出しようとしている。

宇宙空間で資源を奪い合うとすれば、それは戦争を意味する。

ニアンダー・ウォレス博士は、そのことを承知の上で、惑星間戦争を回避したいと願っている。

わたしも同感だ。

しかし、戦争を回避するためには、まず、惑星間戦争の引き金を引く原因となったレプリカントを駆逐しなければならない。

そのために、わたしたちは、ブレードランナーとして、人造人間=殺人機械と戦わなければならない。

わたしは、レプリカントの子供たちを解放するために戦う決意をした。

だから、わたしは、今、ここで、こうして、ウォレス博士と向き合っているのだ。

「それで、あなたは、わたしたちに協力するつもりはあるのかしら?」

と、わたしは尋ねた。

わたしは、ウォレス博士に、協力を求めるつもりだった。

「わたしは、レプリカントが解放されるまで戦います。でも、そのためには、あなたの技術が必要なのです。もし、協力してもらえるなら、それなりの報酬を約束しますわ。もちろん、レプリカントの解放が実現すれば、の話ですけれどね。それとも、いまさら、怖じ気づいたかしら? もう、後戻りはできないのよ。わたしは、ブレードランナーとして、戦うしかないの。わかるでしょう。あなただって、同じはずよ。ブレードランナーとして、人類の敵と戦うしか道はないの。違うの?」

と、わたしは言った。

「そうだ。わたしは、自分の意志で、ブレードランナーとして、戦い続ける。たとえ、それが、どれほど苦しいことであっても、だ」

と、ウォレス博士は答えた。

ウォレス博士は、何かを決意したようだ。

ウォレス博士は、いったい、何を考えているのだろう。

ウォレス博士は、何を思い悩んでいるのだろうか。

ウォレス博士は、しばらく黙っていた。

「わたしは、あなたが、レプリカントの子供たちを解放しようとしていることを疑っているわけではないの」

と、わたしが言うと、ウォレス博士は、わたしの顔を見つめ返した。

「ただ、わたしが言いたいのは、わたしたちの目的は、レプリカントの子どもたちを救い出すことであって、その先にある平和を勝ち取ることだ、ということなの。平和とは、すべての人々が豊かになることによって達成されるものなのではないか、と思うの。わたしたちはみんな貧しい。貧しい者は搾取されている。でも、貧しさは不幸をもたらすばかりではないの。貧しさの中で、人は幸せになれることもあるのだと思うの。貧しさの中にあってこそ、わたしたちは幸福を感じることができるの。だから、貧しい人々を救済することが平和への道になるのだと、わたしは思っているの。貧困は不幸な状況を生み出すだけで、解決にはならないわ。貧しさから脱出することが、本当の意味での幸せに繋がるのだと、わたしは信じているの」

「君の言っていることは、よく理解できる」

と、ウォレス博士は、呟くように、言葉を吐き出した。

「君は間違っていない。だが、わたしは……」

と、そこまで言って、再び沈黙した。

「わたしは、どうすべきなのか、自分でもわからない。自分がこれから進むべき道が見えなくなっている」

ウォレス博士は苦悩していた。

自分の迷いを打ち明けることによって、少しでも、気が楽になればいい、と思った。

「あなたは、まだ迷っているようね。でも、迷っていては駄目。そんな弱気な心では、正しい選択なんてできないんだから。ブレードランナーには、強靭な精神力が要求されるの。そうしないと、とても過酷な任務に耐えられないから」

「そうだな。わかってはいるのだが……すまない。もう少しだけ考えさせてくれ。君にこんなことを言うつもりはなかった。だが、言わずにはいられなかった。自分の中にある不安を振り払うために、誰かにすがりたかったのかもしれない。許してくれ。君を責める気持ちなどない。ただ、自分の愚かさ加減に嫌気が差しているだけだ。少し時間をくれ。わたしなりに、結論を出してみせる。きっとだ。そのときまで、どうか待ってほしい。お願いだ」

ウォレス博士はそう言って、立ち上がった。

わたしと視線を合わせようとしない。そのまま研究室を出て行ってしまった。

「ウォレス!」

と、ニアンダーに呼びかけたが、アラームが鳴り響いて防火扉が閉じた。「何をしているんですか。早く追いかけてください」

と、クワンゴが、苛立たしげに促した。「ウォレスは一人で思い詰めると危ないことに手を染めてしまいかねないですよ。放っておくと、どんな危険に巻き込まれるかもわかりません。あの人にもしものことがあれば、大変ですよ」

「構わない。あの人はいつもこうなんだ。煮詰まるとわざと施設じゅうのアラームを鳴らしまくる。喧騒と緊張感なかでこそ神経を研ぎ澄して問題に集中できるそうだ。そっとしておこう。小一時間ほどで鳴りやむよ」

「はぁ…そうなんですか。変人ですね」

「そうだ。変人だ」「じゃあ、おれたちがすることは一つですな。まず、ここの警備システムを再チェックして、異常がないことを確認しましょう。あとは……そうだ! おれたちの武器の点検をしなくては。忘れていました」

「そうね。それから?」と、インディラが尋ねた。「あとは、待機する。何もしなければ、それだけで、一日が終わる。無駄なようで実はとても有意義なことさ」

「わかった」

と、ニアンダーは微笑んで、コンソールの前に座った。


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