映画シャンソォーンの夜明け(ネタバレ解説)

まぁ、結局人類は実質的に神に負けたんですけどね。天地をリフォームする権利を授かった者は悪を滅ぼそうと真っ先に考えるでしょう。ところが二元論を温存しなくては世の中が成立しない。社会性動物たる人間は構造的な問題という名の宿命を背負っている。集団は常に仮想敵を欲し憎悪を結束の原動力にする。

人類は神の試しをあざむき、滅亡の淵で踏みとどまったように見えた。しかし恒久平和の道を閉ざされたのです。

オーブと言う人類の天敵を自家製造してしまった。


ここから作業経緯。


最初はデスゲームを書こうとしたのですが全地球を舞台にした場合は合議制による殺伐は成立せず全面戦争になると判断しました。根拠はテラハのようなリアリティーショーと違って観客の立場という名の緊急避難場所が地球外に存在しないからです。デスゲームは誰かが秘密の反則技あるいは絶対安全が約束された場所への切符を持っているかも知れないという疑心暗鬼がゲームを続行させる負の秩序になっています。また70億の参加者には不条理な同士討ちを看過するより理不尽な神を討つ合理性を選ぶ人もいるでしょう。多数決が無事に開票される保証はありません。

オーブに生存フラグが点灯したと偽り、安堵を共有し、殺す。

生存フラグ狩りが行われるでしょう。


多数決の投票が危ぶまれたところで、これはゲームが成立するのか?

よくて生存率別の派閥争い、悪くて全面戦争になるなと判断しました。

そこはフィクションですから前者が仲良く?殺し合えばよいのですが、現代はあらゆる方面に分断が進んだ時代です。

時代設定をデタントが進んだマルタ会談後から新冷戦と言いながらも米ロが仲良くシリアに派兵するまでにするかどうか悩みました。


グローバリゼーションが崩壊しマスク警察が跳梁し、あらゆる場所に死と対立が横たわるコロナ禍の現在いまを描こう。


そう判断し、ああいう展開になりました。

平和的全面核戦争なんてありえるのか?という疑問には旧弊の総決算と答えます。


集合的無意識に積もり積もった鬱憤はどこかでリセットしないといけないんですよ。

それが、いつ、どこか、という勇気がないばかりに人類は先延ばししてきた。

オーブは福音でもあったわけです。

ルール上、人類の復活が確約されているのならば「いっぺんやりたかった。やってしまえ!」の好機です。

かくして有史以来「みんな仲良く」の偽善で欺瞞されてきた人類的ストレスが一挙解消され、挙国一致で徹底抗戦する。

神を相手取った壮大なデスゲームが始まるのです。


● 人工知能による検証


このままでは作者の独りよがりに終わる危険もあるためAIによる検証を行いました。


ルールの条件下で生存者は何名か?

http://ailab.nama.ne.jp/results/1623480853.063524.gpt.html


(前略)

この場合の生存者は何名か?


Output text:

オーブを所持していない者は、オーブを所持していても、オーブには触れていないオーブをオーブから解放する。

世界を元に戻す。

死ぬか死なないかで判定できる。なお、オーブ使用者は一定の確率で死亡する。



人工知能は具体的な人数を教えてくれませんでした。

何だかよくわからない回答ですが、人間は死ぬときは死ぬということらしいです。

オーブの使用者(全員)は一定の確率で死亡する。


これを私はモンテカルロシミュレーションと解釈しました。


なるほど、ルールのパラメーターに乱数が混じるとそうなるのか。


だいたい構想がまとまったところで執筆開始です。




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SLEEVE SCRIPT2021 水原麻以 @maimizuhara

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