カクヨム編
猛毒~作品考「ある青年の死」
私は猛毒を投げ込んだのだ。カクヨムという文字の井戸に風刺と皮肉の猛毒を。
異世界転生軽文学が接待小説が文壇を腐らせると一部の者は謗るが神羅万象万物流転の回帰においてかの造物主が愚を犯す筈がないのだ。たった一つ彼がしくじったとすれば、ものみなすべて、ゆらぎが宇宙の在りようであるという悟りをなかなか得らぬまま苦しみ悩み生涯を閉じていくあわれをと、その必要悪を解決できず被造物の苦痛を除去できぬ彼自身の愚かさか。
人は苦しみから逃げることはない。
苦しみは人によって違うものの、しかし苦しみは苦しみでしかありえないというに過ぎない。
彼らは彼らの苦しみが唯一彼らを救える救済材料であるから、苦しみを取り払って苦しみから逃げおおせるのが救い。救いというのは人それぞれで、他人ごとの苦しみに悩んだり傷ついたりした際に、そういう苦しみの救済を得られるものなのだ。
私はこのとき、この創作の世界においては、苦しみに苦しむ他人の苦しみを救うことを目的としているのではないか、と思い始めていた。
私は世界に苦しみがたっぷりとこもる創作の世界から逃げていた。
だが、苦しむ人間を救う者はあるわけがなく、苦しみがなおも募る創作の世界、そこを歩いていくことは私にとっても痛手だった。
私は苦しみに苦しみを重ねて生きていかねばならない彼らの苦しみをどう扱っていいものか、彼らの生きる道を私たちの生きる世界から切り離すべきではないか、と彼らの生きる道を探し、彼らを苦しみの世界から救い出すことに決めたのだ。
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