1日目
窓から降り注ぐ眩しい光に目を覚ますとそこには、一晩たってもまだ醒めない夢のように、信じ難い光景が目に飛び込んでくる。
それは、あの日から恋焦がれてやまなかった人。
「...芽生」
彼女はくるりと軽やかに振り返る。
「なに?ちの子。まるで死人を見るような目で見て」
そう言って芽生は悪戯が成功したと言わんばかりに笑う。
「これは夢?」
思わずちの子は問う。そう問われた芽生がころころと笑う。
「夢だと思う?」
「いいえ。」
「何故そう思うの?」
「私が、夢であって欲しくないと思うから。」
「なら、これは夢では無いんじゃない?」
心底おかしそうに芽生が笑うので、ちの子もつられて笑ってしまう。
そんな自分にちの子は少し驚いた。
笑ったのはいつぶりだろうか。
思えばこんな風に誰かと会話をするのも久しぶりかもしれない。
「あ、そうだ」
「どうしたの?」
「ここに居ていい?」
「?」
突然の問にちの子の頭にははてなが浮かぶ。
「ほら、家に帰るとびっくりさせちゃいそうだからさ」
「あぁ...もちろん」
「じゃあよろしく!」
芽生は納得したように返事をしたちの子に微笑んだ。
「...うん」
いつまで、とは聞けなかった。
I 遥親 @haruchika82
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