I

遥親

ちの子編・0日目

「あ、」

アンモビウムが咲いている。

あの子が私に残していった花。

綺麗で儚くて力強い、

あの子のような花。

私が貴女の悪い知らせを聞いたのは、

夜が澄んで月が綺麗な、


そう、ちょうどこんな日。


この季節にしては珍しく、雨が息を潜めていた。

何を思ったか私は、窓を開けてみる。

湿った空気が部屋の中に入り込んできて気持ち悪い。

少しだけ月を眺め、窓を閉めようとした時、なんとも言い難い心地の良い風がカーテンをなびかせる。

強い風に眉をひそめ、瞬きをしたその後に、


「ただいま。ちの子」


私は息を止めた。

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