アロンソ家

ジェシカが生きているという証拠をもらったエレナは、マロン司祭に言われた通り、ジェシカのもとを訪れ、教会で様子を報告した。

「ジェシカに関する情報を私が知ることは困難です。ですのでお願いします」

リンダの申し出に、マロン司祭は「そのかわり私に協力してくれ。教会の力を使って、彼女の呪いを解いてあげる」

エレナの言葉にマロン司祭は考え込んだ。

「そういえば今日から三日ほど、私もここで休むことになる。よろしいですか?」

「かまわないよ」

「ありがとうございます」

マロン司祭との約束を済ませて、エレナとマロン司祭は教会に入った。ミモザはマロン司祭に相談するかと尋ねるが、その案はある意味却下された。マロン司祭もリンダとは別の考えもあるようだ。

教会の中にはジェシカの姿はなかった。いつも通り、一人でしゃがみ込んでいる。

「ジェシカの所在も把握できてないが、まだ見つかってないのか?」

「エレナの話だと彼女は教会の関係者だと思う。それまでに帰ってくると思うよ」

マロン司祭はエレナを案じているのだろう。ミモザの問いにマロン司祭は答えた。ジェシカの居場所を知っているのかというと、恐らくそうだろう。エレナも一度彼女を捜してから帰ってくると言っていたからだ。

「ジェシカが本当にエレナに会いに来るかどうか、よく考えておきましょう。エレナはこう見えて結構真面目なんだから」

「そうか」

「それに私が会いに来なかったら、彼女はどんな顔をするのか、見ものね」

ミモザを含め、みんなでエレナの顔を見ていると、エレナはエレナで、ちょっと変な感じがしましたか?と言った。リンダは、何かエレナにとって、悩みの種のようなものを思い出したようだ。

「どうしたらいい?」

この時のリンダはそれを言った。自分達は、どうすればいいのかも分からなかったからだ。

「とにかく、エレンに聞いてみましょう。彼女がエレナに会わないなら、この街の教会にも何が待っているかは分からないわ。もし、エレンが彼女に会いに来たら、まずはこの街の教会を探そう」

「教会の場所も分からないんじゃ、そこから調べるしかないな」

「そうね」

俺がそう言うと、みんなとエレナは黙ってリンダを見た。リンダは何か言おうとするうち、彼女は自分から俺の方に来て、それから、こう言った。

「……エレナが会いに来たって言うなら、教えてもらえる。エレンも何か、知っているのかも知れないよ」

彼女の言葉を聞いたとき、みんなでエレナに会いに行こうという話になり、俺は言った。

「そうだな。俺も何となくそんな気がする」

「分かったわ。それじゃあ、さっそく私が先にエレナに聞きに行こっか」

そういうと、アリシアは立ち上がり、エレナとリンダを連れて俺の部屋へと向かった。

ドアを開け中に入ると、リンダが立っていた。

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