手紙の疑惑
「これは! 本当か!」
ジェシカの父であるロース司教は驚いた。
マロンは「はい。これは遺品の魔法袋に入っていました。ハーロープ様が愛したのですね」という。
ジェジカは「よかった」と呟いて、魔法袋を大事そうに手に取った。司祭は驚いたようにエレナの側に来る。
「それは一体どこで手に入れた。ミモザが?」
「ええ、エレナの遺品です。実は今、私達は王都に向かって移動中なのです」
ジェシカはミモザと一緒にハーロープを訪ねる予定だ。おそらくグレタも王都に向かったはず。そう伝えて礼を述べた。ジェジカは旅支度のため家に戻った。
帰宅していきさつを伝えるとリンダが首をかしけた。
「・・・そうだとしたらジェジカの父の許可は要らないはずだわ」
リンダが言うには許可申請は自分が通う教会でもできる。ジェシカの教会より格が上だからだ。
「そういえば、ジェジカという人物から相談された際、私は魔導書と使用許可をすぐ手に入れるよう助言しました。本人は急ぐと約束をしていたのに、なかなかやってくれませんでした」
マロン司祭はそう言うと、ミモザに魔法袋と魔導書を渡した。リンダはロース氏がそうでなくとも、ジェシカの過失に責任を感じて迅速に対応すると考えた。しかしロース司祭が手紙を見て確認してきたところで、その考えは薄れることになる。
「・・・まさか、それは本当にミモザに渡そうとしていたのですか?」
リンダはいぶかしむ。
「はい」、とマロン。
「それは、嘘かもしれないじゃない」
リンダは語気を強める。
つまりリンダはジェジカの親子の挙動不審を告げる。
「そうね。実は私、初めて魔法袋を見た時の事をあまり覚えていないの。確かにジェシカ様は手紙を見て私に確認した後、何の反応もなかったけれど、でも私はあの魔法袋のことばかり考えていて・・・」
ミモザは「私もそう思う」という意見を出す。
「私のミスだわ。ハーピーが生きていたらはそのような行為を恥じだと思うだろう、私もそんなことをされた自分を恥じよう」
マロン司祭はミモザと、リンダの顔を見た。しばらく考えて、ふとミモザもハーロープの手紙を見たことを思い出してしまった。
「それにもう一つ・・・私が見た時。あの手紙には何もなくて。挨拶のあとに続く記述がなかったこと・・・」
「それは、どういうことか」
リンダが尋ねる。
「ああ、これはマロンが魔法袋のことばかり考えていたのがいけなかったと、そう言いたいの。蘇生するだけ強力な魔力を申請するのであればもっと注意深くあるべきだった」
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