第2話
舞風学園演劇部 2話
レッスン第一歩
舞風学園に入学し、なりきり遊び好きな本宮ひのり、文学系優等生の伊勢七海、明るくフレンドリーな小塚紗里、自分に自信なさげで不器用だけど演劇やることに意欲的な城名みこの4人は演劇部を始めることとなったが、練習場所として多目的室を使い、授業を終えていよいよ部活動開始となったのである。
ひのり「待ちに待った演劇部楽しみだよ!わーい!」
授業中寝てばかりいたひのりだったが、部活には元気いっぱいになり、制服からジャージに着替えると多目的室内を走り回っていた。
七海「あまりはしゃがないでね。もう高校生なんだし少しは落ち着きなさい」
ひのり「わかってるって」
紗里「幼稚園の頃のお遊戯会思い出すなあ」
みこ「舞台に立つなんてとても想像できない」
紗里「あの宝唯香ちゃんって子なんて子役時代から映画もドラマも舞台も出てた訳だしあたし達だってできるよ」
みこ「そうかなあ」
そこへ顧問で担任の音屋亜希先生も部室へ入ってきた。
音屋先生「みんな揃ったわね。じゃあ練習始めようか。まずは柔軟体操からね」
演劇部の練習メニューとしてはまず最初に柔軟体操やストレッチをやるものである。
音屋「まず両手を上に伸ばして」
4人は音屋先生に言われた通りに両手を上に伸ばしてから下ろす動作や屈伸といった基本的なストレッチを一通り行った。
音屋「柔軟体操どうだったかな?」
ひのり「ちょっと大変だけど楽しい」
音屋「それじゃあ少し休憩しようか」
ひのり「音屋先生は演劇経験あるんですか?」
音屋「ええ。私は大学の頃にミュージカルやっていたわ。それで卒業公演で出たの」
七海「先生も凄いね。あの宝唯香ちゃんって子も入ればいいのに」
丁度そこへ宝唯香が見学へやってきた。
ひのり「演劇部に入りたくなったの?」
唯香「違うわ。どんなものか見にきただけよ」
紗里「唯香ちゃんは朝ドラとか出て活躍してたんだよね?」
唯香「そうだけどそれがどうしたの?」
紗里「唯香ちゃんにも演技のこと教えてもらいたいと思ってて」
唯香「そういうことなのね。入部する訳ではないけど指導ならしてもいいわよ」
音屋「教えるなら唯香ちゃんだったら子役時代から演技経験豊富だし良いかもしれないわね」
唯香「円滑に喋れるようになるから発声練習は大切だわ。それじゃあ、い、う、え、お、い、う、え、お、あ、お、あ、い、う、え!」
全員「あいうえおいうえおあうえおあいおあいうえ!」
唯香「かきくけこきくけこかくけこかきこかきくけ!」
以下略
五十音を一通り言い終えた。
唯香「どうだったかしら?」
ひのり「演劇ってこういうこともやるんだね」
唯香「舞台で声を出すことも基本中の基本だわ」
みこ「でも上手く声を出すって難しい」
紗里「滑舌良くなるしこういう練習いいね」
唯香「次は早口言葉だけど言えるかな?まずは生麦生米生卵!」
ひのり「生麦生米生卵!」
七海「生麦生米生卵!」
紗里「生麦生米生卵!」
みこ「生麦にゃま米にゃま卵!あっ!」
唯香「噛んじゃうのは仕方ないわ。私も幼稚園の頃に子役の養成所通ってたレッスンで上手く喋れなかったのよ」
早口言葉の練習は一通り終えると次はパントマイムの練習となったのである。
唯香「次はパントマイムやるわよ。さっきの発声練習とはまた違って体で表現するけどお手本見せるわ」
箱を置いてあるという想定で重そうに持ち上げる動作をした作業をしている様子を表現した。
ひのり「上手いね。私もやってみるよ」
唯香「確かなりきり遊び好きって言ってたひのりちゃんなら上手いかもしれないね」
ひのりから順番に1人ずつ箱を持ち上げる動作は果たして、役者キャリア11年の唯香にはどう見えたのだろうか?
唯香「なりきり遊びが好きなひのりちゃんはこれからも上手くなりそうだわ」
ひのり「本当?ありがとう!」
唯香「そして七海ちゃんは表情がちょっと固めといった所かな」
七海「そうですか」
唯香「紗里ちゃんは正直言わせてもらうと気持ちが籠ってなさそうだったわ」
紗里「私笑顔は得意だけど多分苦しいみたいな演技が苦手だと思うわ」
唯香「みこちゃんは不器用な所は目立ったけど頑張ってる所は良かったわ」
みこ「ありがとうございます・・・」
唯香「以上がみんなの評価だったけど最後に即行芝居してみる?」
ひのり「面白そう!なりきり遊びみたいなこと得意なんだ」
唯香「その意気込みいいわ。掛け合いみたいな感じでやろうか」
紗里「好きな役になりきっていいのかな?」
唯香「何でもいいわ。役作りだから動画取るから位置について。」
唯香がスマホで動画撮影し、それぞれの速攻芝居が始まったのである。
ひのり「じゃあ王道なRPGのラスボス戦みたいなのでどうかな?あたしが勇者役で七海ちゃんが助っ人の青騎士役、紗里ちゃんが攫われる姫役、紗里ちゃんは悪い魔女役で」
紗里「悪役やってみたかっんだし引き受けるわ」
唯香「役柄はもう決まりなのね。それじゃあ配置に着いてね。よーいアクション!」
唯香が動画を撮る形で速攻芝居が始まった。
ひのり「ひのり、行きまーす!あんたみたいな悪い魔女はあたしが倒す。覚悟しなさい。」
紗里「アッヒャッヒャッヒャ!この子を返してほしいのかい?」
ひのりは勇者、紗里は魔女になりきっており、みこを攫われた姫役となった。
みこ「た、助けてー!」
紗里「あたしにひれ伏しなさい。さもないとこいつの命はないわよ」
ひのり「くっ!ここはどうすれば!?」
七海「青騎士参上!私もいるからには好きにさせないわ」
ひのり「青騎士、助かったわ。さあ大人しくするまでよ」
七海「合わせ技を撃ちましょう」
ひのり「行くわよ!」
2人「バーニングストーム!」
紗里「ぎゃあああああ!このあたしが敗れるなんて」
みこ「た、助かったー!」
ひのり「もう安心して、プリンセス」
唯香「はいカット!演技はまだまだだけどみんなのアドリブ良かったわ」
ひのり「ありがとう。演劇って本当楽しいね」
唯香「大変なことも多いけどなりきり遊び好きならやれるわね」
ひのり「この学校で夢ができたわ」
七海「何かな?」
ひのり「あたし達はこの舞風学園の第一期生じゃん?」
七海「それで?」
ひのり「伝説を残そう!そして私達の学園青春物語を作ろう」
七海「目標ができて良かったわね」
紗里「良いことだね。あたしも賛成するわ」
みこ「私、できるかな」
唯香「ひのりちゃん応援してるわ」
音屋「みんな部活動上手くいきそうね。でも勉強
も疎かにしちゃ駄目だわ」
ひのり「わかってるわ。演劇も勉強も頑張る」
こうして1日目の部活動を終えて学園青春物語を迎えたのであった。
舞風学園演劇部 @azl_13256
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。舞風学園演劇部の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます