舞風学園演劇部
@azl_13256
第1話
演劇を始めよう
高校入学を控えている本宮ひのりは15歳であるが、ごっこ遊びやなりきり遊びというものが大好きであり、脳内は魔法使いになりきって魔法の杖を使って戦うイメージを繰り広げて遊んでいた。
ひのり「もう高校生なのにこんなことやってるの恥ずかしいかな」
そのまま就寝し、翌朝目が覚めた。
ベッドから台所に向かい、母親が用意した朝食を食べ終えると身支度をし始め、歯も磨いて制服に着替えて家を出た。
ひのり「行って来まーす!」
母親「車に気をつけるのよ。高校生らしくしっかりね」
ひのり「うん」
ひのりは家を出ると幼馴染で親友の優等生である伊勢七海(いせ ななみ)と合流した。
ひのり「七海ちゃんおはよう」
七海「おはよう。珍しく早いね」
七海も同じ高校への入学が決まっており、今日が入学式であるが、小中学校時代から遅刻や寝坊癖のあるひかりを珍しがっていた。2人は駅から電車に乗り、開校したばかりの舞風学園に向かって行った。
ーオープニング
そして入学式。新設校というのもあって新しい校舎に体育館があり、近代的な校舎に設備というのが私立舞風学園の特徴でもある。
体育館に入る前にクラス分け名簿を見るとひのりと七海は同じクラスだった。
ひのり「やったよ!同じクラスだね」
七海「ええ、その方がいいわね」
そして体育館で入学式が行われ、学年は1年生のみとその保護者、教師、来賓の方々の挨拶となっていた。
校長の挨拶や学校紹介を一通り終え、体育館で入学式を終えて教室に入った担任教師はまだ若く、綺麗な人だった。
ー「1年A組の担任をやらせて頂く音屋亜希(おとや あき)と申します。私も入学したあなた達と一緒でまだ大学を出たばかりでお互い大変かもしれないけどこれから1年間よろしくお願いします」
生徒の自己紹介に入り、最初に出席番号1番の七海が自己紹介を始めることになった。
七海「伊勢七海と申します。出身中学は◯◯中です。趣味は読書や小説執筆と言った所です。」
他の生徒達も一通り自己紹介をする時にひかりの番になった。
ひのり「私は◯◯中出身の本宮ひのり。将来の夢は大物女優。趣味はごっこ遊び」
痛々しい自己紹介に場の空気は凍りついた。
そして入学式のホームルームを終えた。
ひかり「やっちゃったよ」
七海「あんたは変わったことしすぎのよ」
ひかり「私、中学の頃は痛いなりきり遊びなんかして変な目で見られたのに高校でも同じだよ」
七海「そんなになりきり遊びが好きなら演劇部やれば?」
廊下には陸上部、バスケ部、バレー部、空手部、軽音部、文芸部、演劇部といった部活紹介の張り紙にあり、演劇部を選ぶことにした。
ひのり「演劇だ!何で今まで思いつかなかったんだろう」
七海「文芸部考えてるんだけど私も演劇部に入ろうと思ってるんだ」
ひのり「同じ志を持ってくれて嬉しいよ七海ちゃん」
ひのりは七海に嬉しさのあまりに抱きついた。
七海「一緒に入部でいいね」
ひのり「うん」
2人が去った後に隣のクラスのB組の生徒2人もその演劇部募集の紙を見て何かを思っていた。ひのりと七海とは別の中学出身の城名(しろな)みこと小塚紗里(こつか さり)だった。
みこ「演劇やってみたいけど私人見知りだし自信ないし」
さり「何言ってんの?みこちゃんは演劇向いてるはずだよ。私も入るからやってみようよ」
みこ「で、でも」
紗里「私も正直向いてるのかわからないけどあの子も演劇部気になってるみたいだよ」
紗里はひかりに話しかけた。
紗里「あの、ちょっといい?」
ひのり「何?」
紗里「演劇部に入るつもりですか?」
ひのり「そうよ。私、こういう者です」
生徒手帳を警察手帳のように見せて自己紹介すると紗里に七海も紹介した。
ひのり「私は本宮ひのり。将来の夢は女優なの。それでこの人は」
七海「伊勢七海よ。文芸部考えてるけど演劇部にも掛け持ちで入ることにしたの」
紗里「アハハハハ、ひのりちゃん面白いね。あたしは小塚紗里。元々運動好きなんだけど演劇もやってみたいと思ってて悪役とか気になってるんだよね」
みこ「私は城奈みこ。人見知りで喋ること苦手なんだけど演劇やってみたいんだ」
小塚紗里は明るいギャル気質だが、ノリも良くて根はとてもフレンドリーな性格なのに対して城名みこは自信なさげだけど演劇への想いは強いのである。
ひのり「みこちゃん、私も実はこう見えて人見知りなんだけどね、紗里ちゃんもみこちゃんも一緒に部活やろうよ」
みこ「う、うん。私も演劇部やってみたいな」
ひのり「よし。私達4人部員揃ったね。トークグループも作っちゃおう」
みこも紗里もQRコードを掲げ、ひかりと七海も連絡先交換をしたのである。
そこへ担任の音屋亜希先生が来た。
亜希「演劇部ね。顧問は私なんだけど入部してくれるなんて嬉しいわ」
4人はそれぞれ演劇部を始めることに楽しみワクワクしていたが、C組の1人の女子生徒は通りすがりにひかり達を凝視していた。
ひかり「あなたは?」
ー「私は宝唯香(たから ゆいか)。一つ言っておくけど演劇ナメないでよね。私子役時代から演技経験のあるんだけど楽しいだけではないわ」
一匹狼風の女子生徒はそう言い残すと立ち去っていった。
七海「あの子ってもしかしてこれじゃない?」
スマホの画面を見せて過去に上演されたある大舞台のビジュアル写真の中心に彼女が写っていた。
ひのり「す、凄い。本物の女優だなんて」
七海「でも私達のこと良いように思ってないみたいだわ」
ひのり「やってみないとわからないじゃない。ねえ、演劇部入らない?」
唯香の後を追って話しかけた。
ひのり「待ってよ、女優だったんでしょ?」
唯香「そうだけど。ただのごっこ遊びがやりたいの?悪いけどあなた達と一緒に部活はできないわ。失礼します」
ひかり「ええ?!」
続く
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