(後編)
chapter13 わしが本物じゃ
「この指輪を受け取ってもらえないかな?」
「しかし……そのようなことは。わたくし如きでは……」
「……そっか。僕がまだ子供だから、受け取ってもらえないんだね。じゃあ、僕が大人になったら、もう一度、同じお願いをするよ。だから、その時こそちゃんと答えを聞かせてね。約束だよ……?」
それは、幼い日の約束。
色あせない、色あせた思い出の出来事。
…………。
……。
GM 魔道列車デザートイーグル号の外で行われている大規模戦闘4ラウンド目です。冒険者チームのビリー、ヘレン、アクルゥの行動をお願いします。
ヘレン 中央車両の戦闘はもう大丈夫。だから、ヘレンはそのまま先頭車両まで全力移動。
ビリー・ザ・ソニック(以下、ビリー) (銃を構えて)ヘッ、俺はそのまま、この先頭車両にいる蛮族どもに〈ショットガン・バレット〉をぶっ放すぜッ!
*大規模戦闘の4ラウンド目の状況は、以下の通り。先頭車両は、『護衛20ポイントvs蛮族20ポイント』で拮抗状態。中央車両は、『護衛20ポイントvs蛮族10ポイント』で護衛優勢状態。
ビリー 狙うは、残ったL2サーベルフッド一体、L4レッサーオーガ二体、L5アンドロスコーピオン一体(二部位)。このレギュレーションだと、部位が多いのは、ちと厄介だな……(苦笑)。
(ころころ)気持ちいいぐらい命中はするが――肝心のダメージは、13点でサーベルフッドを一体落としたのみか。
アクルゥ (少し悩んで)……あの。わたし、後方列車の様子を見に行ってもいいでしょうか? なんだか、後方列車って護衛の人もいないし、気になってしまって……。
ヘレン ン、分かった。アクルゥの好きにしていい。もう外の戦闘は大丈夫。ヘレンたちに任せて。
アクルゥ ハイ! ここは、お任せしましたっ!(後方列車の中に走っていく)
GM/後方の列車護衛たち 「冒険者のお嬢さん、ありがとう!」と、共に戦ってくれたアクルゥに感謝の言葉を伝えつつ、「よし、このまま中央の応援に行くぞ!」「「「おう!」」」と走っていく。
GM/蛮族 では、蛮族たちの攻撃。先頭車両付近はかなりの広範囲での乱戦になっているので、全力移動してきたヘレンも巻き込まれます。ビリーとヘレンにアンドロスコーピオンの上半身がビリーに銃撃。下半身がヘレンに尻尾で攻撃してくる。
ビリー (ころころ)おっと、クリティカル。「ハッ、この“ビリー・ザ・ソニック”に銃で勝とうなんざ、百年早ェ!!!」
ヘレン あ……
GM/蛮族 ダメージは7点。毒はさすがに抵抗されましたね。
ヘレン うん。このダメージは仕方ない。
GM では、5ラウンド目。デザートイーグル号に動く合図が出始める。6ラウンド終了時に、列車が走り始めます。
ビリー んじゃ、ヘレン。俺たちで、こいつらを一掃するぜ?
ヘレン (コクリと頷いて)了解、ビリー。〈ファイアボール〉ッ!(ころころ)
ビリー 〈ショットガン・バレット〉ッ!(ころころ)
GM その攻撃で、レッサーオーガ二体、アンドロスコーピオン一体が落ちます。蛮族は残りアンドロスコーピオン一体となり、ここで乱戦状態が一気に縮小され、ビリーやヘレンは次のラウンドから移動可能になります。
ビリー 先頭車両付近もこれで問題ねぇな。後は、列車の中に入り込んだ蛮族どもか――さぁて、どんな騒ぎになってやがるんだろうな……(苦笑)。
GM それでは、アクルゥは後方列車の中にたどり着くと、ドタバタと音がする。
アクルゥ まさか、蛮族ですか!?
GM そこには……初日に会った占い師の老婆がいる。瓜二つの二人。
アクルゥ は、ハイ……?
アクルゥは一瞬、目を疑うしかなかった。
さほど会話をしたという訳でもないが、服装だけでなく、顔つき、しぐさまでソックリな二人は、確かに、列車に乗った初日に話しかけてきた老婆に見える。
「ひ、ヒィ……助けてくれぇ!? こやつは、偽物じゃぁぁぁ!!!」
左側の老婆が、右の老婆を指さす。
「ち、違うぞ! こやつが、いきなり列車の中に入り込んできたと思ったら、わしとおんなじ姿になったんじゃぁぁぁぁぁ!!!」
右側の老婆が、左の老婆を指さす。
「「信じてくれぇぇぇ!!? わしが本物じゃぁぁぁぁ!!!」」
GM という状況に出くわす。
(アクルゥ (わなわなと震えてながら)く……ず、ずるいですっ。なんか、ちょ、ちょっと、面白い状況に……(笑いを堪えている))
(ビリー まさかのダブルババアとは、さすがにこの展開は想像もできなかったぜ(笑))
GM あ、うん。三等列車で出会った人が、この老婆だったので、こんなイベントになりました(笑)。
ただ、最初に言っておきますが、アクルゥが早くに後方列車に来たので、余裕がある状況になりました。もしも、7ラウンド以降に来たとすると、あんまり笑えない状況に陥っていた、とだけ言っておきます。
(アクルゥ そうでしたか。それは、良かったです。……えっと、レッサーオーガは同じ姿になれるような能力じゃないんですよね?)
(ヘレン うん。レッサーオーガの《人化》は、心臓を食べた相手のみ化けられる。たぶん、こいつは、別のナニカ)
(ビリー 真偽判定まっしぐらな状況だな(笑))
GM そうですね。後、一つだけなら質問することが可能で、うまくやれば真偽判定にボーナスをつけます。もしも、決定的な質問をするか、もしくは、あてずっぽうで攻撃するなら、一方的に攻撃可能になります。
(アクルゥ わたし、知力は高くないので、できればいい質問をしたいですね……)
一同 (相談開始)
(アクルゥ ハイ! 決めましたっ!)
アクルゥ お婆さんが持っているお守り。いくらで、わたしたちに売ろうとしましたか!?
GM/ダブル老婆 では、二人とも懐から、めちゃめちゃ安っぽいお守りを取り出します。
/左の老婆 「1ガメルじゃっ!!」
/右の老婆 「10ガメルじゃっ!!」
一同 左だぁぁぁぁぁぁ!!!(爆笑)
アクルゥ 真偽判定をせずに、左側に《変幻自在》+《マルチアクション》+《鎧貫きⅡ》で〈フォース〉+《追加攻撃》!(ころころ)
全力ですっ! ハイ!
(ヘレン (ぽつりと)これで間違ってたら、ババア、死ぬ……(一同爆笑))
(ビリー (空を仰いで)ひでぇ事件だったな……。安らかに眠れ、
(アクルゥ 縁起でもないこと、言わないでくださいっ!(笑))
アクルゥ えっと、普通のお婆さんだから全部命中した訳じゃないですよね……?(どきどき) ダメージが、《鎧貫きⅡ》16点、通常攻撃18点、〈フォース〉10点です!
GM/左の老婆 では、老婆の全身にヒビが入り……。パキンッと音と共に“黒い魔神”になります。
/黒い魔神 「コ、コンナ安ッポイ袋ガ、10ガメル、ダトォォォォ!!?」
一同 そこなの!!?(爆笑)
アクルゥ (ほっと一息)ちなみに、わたしたちは、買っていませんよ! ハイ!(笑)
GM まあ、確かに誰も買わないよね(笑)。
アクルゥ お婆さんの、がめつさに感謝です!(笑)
GM さて、6ラウンド目になります。ビリーとヘレンは先頭車両に乗り込むでいいんですよね? では、このままアクルゥの戦闘継続します。
アクルゥ 再び、同じ攻撃をします!(ころころ) はぅ、〈フォース〉はファンブルしちゃいました。でも、ダメージは19点、20点。
GM/黒い魔神 「グアァアァァァァァ!!?」とアクルゥの連続攻撃で倒れます。
アクルゥ ……ふぅ。それにしても、お婆さん、なんでこんなところで一人に? 危ないじゃないですか?
GM/老婆 「ふぇっふぇっふぇ。なぁに、単なる――火事場泥棒じゃよ」
アクルゥ お婆さん、正直過ぎませんっ!?(一同爆笑)
GM さて、ビリー達よりも早くに先頭車両に乗り込んだ強盗チームの話です。
先頭の運転席があるのですが、そこの扉は開いていて、今まさに倒れたドワーフの運転機関士に、心臓を食べようとするレッサーオーガの姿が目に入ってきます。
“アナグマ” ブッ潰ス!
“ハイエナ” 切り刻む!
GM (ダイスを見て)うん、“アナグマ”の攻撃だけでレッサーオーガは倒されます。
“ハイエナ” おっとっと、思わず死体を切り刻んじゃった。仕方ない、“サソリ”、この運転機関士にポーションを使ってあげて。
“サソリ” (少し遅れてやってきて)……分かったデス。なんで、助けるの、デス?(首を傾げる)
“アナグマ” グガァ?(真似て、首を傾げる)
“ハイエナ” だって、運転機関士がこのまま倒れたら、誰がこの列車を運転するのさ? 僕らの目的は、別にこの列車を乗っ取ることじゃない。むしろ、こんな砂漠の真ん中で立ち往生とかしたら、大変でしょ?
“サソリ” ……分かったデス。
“ハイエナ” うん、そういうこと。回復、宜しく。
“サソリ” “ハイエナ”がなにか難しいことを言っているのが、分かったデス。
“アナグマ” グガァ(同意)。
“ハイエナ” それは、何一つ分かっていないよね?(苦笑)
“サソリ” 時間がない、“ヒーリングポーション+1”デス!
GM それで、完全に意識を取り戻した運転機関士は君たちにお礼を言う。
/運転機関士 「……ごほ、ごほっ。す、すまない。助かった……」と、目を開けて、「すぐに、列車を動かして、この場から離れるないといかん。これ以上の蛮族たちが襲ってこられたら、まずい……」と、傷を押さえながらも、運転の操作を始めます。
“ハイエナ” おお、さすがはプロだね。さてと、僕らもこのまま一等列車を目指そうか。
GM/運転機関士 「助けてもらっていて、こんなことをお願いするのも申し訳ないのだが……。機関室の方にも、レッサーオーガが入り込んでいるらしい。もしも、よかったら、助けてやって欲しいんだが……?」と苦しそうにしながらも、依頼される。
“ハイエナ” あー……機関室ってことは、動力部か。(少し思案して)仕方ないか……、列車が動かなくなるのも、困るもんなぁ……。
GM そんな会話をしていると、先頭車両に駆け寄ろうとする、ビリーとヘレンの姿が目に入る。
“サソリ” (ギラリと目を光らせて)ヤるデス?
“ハイエナ” (指を鳴らして)“ビリー・ザ・ソニック”がいるじゃんっ! 彼らに機関室を
(ビリー達に大声で)どうやら、機関室に蛮族が入り込んでいるみたいだよ!!! 僕たちは、運転室にいた蛮族を倒したから、そっちはお願いしてもいいかなー!!?
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