御子屋氏の中より這い出し手紙


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     御子屋みこやなかより手紙てがみ

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拝啓、斑目咎まだらめとがめ



 あなたの大切なるご友人・御子屋氏みこやしの肉体と魂は、いま、私の造り出した人形どもの無何有郷・《うくばうる・てろてうす》にて、永遠の時を過ごしております。

 ―――逃れる術はありません。

 彼はどうしようもなく、どこまでも、その、彼にとっての夢の世界で、永遠を過ごすことになるのです。彷徨さまよえる和蘭人おらんだじんのように。あなたが彼を救わぬ限り。………

 さあ、ですから。

 あなたには是非ともわが楽園―――我楽多島がらくたじまの楽園へ、お越し頂きたく思います。そうして是非、私と共に、楽園へ住んでいただきたいのです。私とあなたというのは、本来、そうあるべきものだったのですから。

 そうすれば彼は帰しましょう。

 他の、いろいろの、人形になったものどもも、人というものに戻しましょう。あなたさえ傍にあるならもう、わたしはどこまでも幸福なのです。あなたさまが来てくださること、ほんとうにたのしみにしております。………



彼方の良人 比玖間ひくま凛恩りおん より

 

 

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