❖ あやかし噺 ❖ 引っぱるモノの正体は?


 俺の友人は姿の見えないナニカから手を引っぱられるという珍しいアプローチを受けることがある。


 友人は何度か奇妙な経験してきているが、いつもアヤカシの姿が見えないので正体は不明のままだった。


 そこへ読者さんから引っぱってきたナニカは「そで引き小僧こぞうでは?」 *1とコメントをいただいた。情報ありがとうございます!


 俺は「袖引き小僧」が何者か知らなかったので調べてみた。


【袖引き小僧】

• 日本の妖怪

• 夕暮れの道中で袖を引く

• 袖を引くいたずらをするのみ


 ネットで調べた情報によると、袖引き小僧は埼玉県にいる妖怪とのこと。

 ところが友人が腕を引っぱられた体験をしたのは東京だ。腕を引いたのが袖引き小僧ならば東京に進出してきたのか、それとも袖引き小僧は東京にも存在しているのか……。


 初めて知った妖怪が気になり、いろいろ想像してしまう。

 袖引き小僧は「袖を引くだけ」の妖怪のようだが、友人が遭遇したアヤカシは腕をつかんでいる。この点が袖引き小僧の伝承と違う。


 腕をつかむタイプは袖引き小僧とは別の妖怪なのだろうか?


 また「引っぱられるのは、いつも左側から」と友人はふしぎがっていた。

 「左だけ」なのは意味があるのだろうか?


 夜に道を歩くアヤカシを描いた『百鬼夜行之図』 *2などを見ると、日本にはたくさんのアヤカシがいるらしい。数の多さからおそらく名前のないアヤカシもいそうだ。


 しかし現在ではアヤカシの存在はうやむやだ。

 むしろ居ないという人が多く、アヤカシの正体を知りたくても情報が足りない。


 類似例を情報収集して調べていくしかないけど、奇妙な出来事だから時間がかかりそうだ。






_________

【参考】

✎ ネットより


*1 袖引き小僧について:

 「コトバンク」「水木しげる記念館」 ほか


*2 百鬼夜行:

 いろんな化け物が夜に列をなして練り歩くこと。

 むかしの人は、百鬼夜行を見たり遭遇したりするのはよくないことと恐れていたという。『百鬼夜行之図』や百鬼夜行絵巻などの作品があり、そこには多くのアヤカシが描かれている。『大鏡』や『今昔物語』など、古い書物の中にも百鬼夜行が書かれた作品もある。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る