【余話】紫桃はノートを愛用する


 世の中ペーパーレスが進んでいるけど、俺は付箋ふせんやノートを好んで使っている。文字を書くには手間と時間がかかるが、手を動かしたほうが考えがまとまるからだ。


 趣味で小説を書いている俺は、ネタを仕入れたら忘れないようメモを残す。

 メモは付箋をよく使うがその場にメモできる紙がない場合は、スマートフォンのメモアプリを使うこともある。



⋯⋯⋯✎ 紫桃しとうの付箋 ⋯⋯⋯

〇〇年〇〇月〇〇日①

新宿区/居酒屋〇〇〇〇

 コオロギより

・〇〇寺(〇〇区)

・霊が道案内

⋯⋯⋯⋯⋯⋯✐



⋯⋯⋯✎ 紫桃のスマホ メモ ⋯⋯⋯

〇〇年〇〇月〇〇日②

・コオロギは探しもの

・方向音痴

・迷子になる前に霊が接触

⋯⋯⋯⋯⋯⋯✐



 メモはあくまで聞いた話を忘れないためのもので、必要な情報しか書いていない。


• メモを取った日時、必要があれば連番(①②のこと)

• 話の提供者

• 概要


 このメモをもとに、聞いた内容を思い出して小説の構想を練っていくが、ここで活躍するのがノートだ。


 簡単に入力・修正ができるパソコンやスマートフォンと比べると、ノートをとるのはかなりめんどう。文字を書き続けると手は痛くなるし、間違えたときの修正はいちいち手間がかかる。それでも俺がノートを使うのは利点があるからだ。


• 全体を把握しやすい

 パソコンだと画面に表示されない部分がある

• 手を動かして苦労した分、頭に入りやすい

• データが残る

 パソコンのデータはまれにクラッシュしていちから作り直しになる


 あとノートを使う理由のひとつに俺の文具好きもあって、自分のお気に入りのアイテムで作業したほうが効率が上がるのだ。


 愛用しているツ〇メノートを開いて、メモをもとに体験談を思い出しながらポイントとなる単語や一文を書きだしていく。



⋯⋯⋯✎ 紫桃のノートより ⋯⋯⋯

〇〇年〇〇月〇〇日

新宿区/居酒屋〇〇〇〇


「コオロギの体験談:〇〇寺にいる親切な霊体」 


・〇〇区にある〇〇寺

・寺内にある〇〇と〇〇が見たい

・現地で道に迷う

・地図を見つける

・目的地へ向かうも失敗

アヤカシからの助けが入る

・目的達成(無事に到着)

⋯⋯⋯⋯⋯⋯✐



 まずはメモしていた内容を箇条書きにしてまとめる。


 次に箇条書き横の空白スペースに、最初に書いた箇条書きに対して文(箇条書き)を足していく。文が増えると、ひとかたまり(段落)ができるのでストーリーを展開させて下書きをつくる。


 俺の場合、下書きは詳細まで書かない。

 登場人物のプロフィールやストーリーの流れ、ポイントとなる部分に入れるべき情報など、物語が書きやすくなるようにまとめるだけだ。


 ノートに下書きができたら、いよいよ小説を書き上げていく段階へ移る。

 ここからはパソコンを使った作業になる。下書きしたノートを参照しながらパソコンの画面に物語をつづっていく。


 一発で満足ができる小説に仕上がることなんてない。


 追加・修正・削除……


 幾度いくども作業を繰り返して一つの小説へと仕上げていく。


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