第9話 男の修行

 旅支度たびじたくも必要になったので、フローラと一緒にデパートを回って色々と買い込んだ。エルアーリアの服選びは主にフローラが手伝ってくれたのでロパとしては助かったがエルアーリアは何処どこか不満げだった。まあ、それでも何とか無事に買い物を終え、今はまた連れ込み宿に戻っている。無論、フローラも一緒だ。別の宿を取るように言ったのだが、一人だけけ者は嫌だと言ってついてきてしまったのだ。

 ちなみにここのラブホは三名以上の利用も可能なのだが、料金は割り増しになるらしい。ラブホマスターのエルアーリアによればあまりチェックされないので誤魔化す人も多いらしいが大した料金ではないのでフロントできちんと払った。

「最近の連れ込み宿は綺麗なんですね」

 部屋に入るなり、フローラが感嘆の声を上げる。

 フローラの年齢は二百七十歳。ハイエルフは人間の十倍の寿命を持つので、そこから逆算すると二十七歳くらいになる。当然のように色々と経験しているわけでラブホも初めてではないらしい。

「おまえもよく利用するのか?」

「若い時は良く利用しましたわ。森を出たての頃はお金がなかったものですから、夜の街をさまよっていると親切な殿方が声を掛けてくださって、よく一緒に泊めていただきました」

 懐かしそうに話すフローラだが、その内容は聞き捨てならないものだった。

「ロパさん、こいつビッチですよ……」

 エルアーリアがささやくようにか細い声で耳打ちする。

 普通の人間なら絶対に聞こえない声量だが、フローラの長い耳は地獄耳だ。

「あら、天使さんはそういうことに御興味があるのかしら? よろしければ色々と御教授差し上げますわよ」

 妙につやっぽい笑みを浮かべ唇に指を当てるフローラ。

「え、遠慮します……」

 エルアーリアはそう言ってロパの後ろに隠れる。

「あら、残念ですこと。色々と教えがいがありそうでしたのに」

 フローラは本当に残念そうだ。

 変な流れになっても困るのでロパは軌道修正に入る。

「そんなことを教えている暇があったら俺に魔力の編み方でも教えてくれ」

「魔力ですか?」

「魔法、使えるよな?」

「ええ、まあ、精霊魔法は得意としておりますわ」

「魔物である今の俺は闘気オーラを編めない。魔力を高めることが強くなる唯一の方法なんだが、その方法が全くわからないので困っている」

「魔力を体に流した経験が全くないのですか?」

「ああ、一度も無い」

「では、魔力童貞というやつですわね」

 フローラが童貞と言った瞬間、エルアーリアがクスッと笑った。

「何がおかしいんだ?」

 ロパが睨む。

「いえ、別に」

 フローラの時とは違って全く動じる様子がないエルアーリア。

 あとできっちりフローラに調教してもらう必要がありそうだ。

「真性の魔力童貞なら肌を合わせるのが一番手っ取り早い解決法だと思います。互いの肌を密着させた状態で相手の体に魔力を流すのですわ」

 フローラは指で輪を作り、もう一方の指をその輪に突っ込んで動かす。

「できれば、ゴムなどつけずに行う方が効率が上がります」

「それはおまえと生でやるってことか?」

「少しでも魔力があるのなら触る程度で大丈夫なのですが、完全な魔力童貞となるとこの方法以外では厳しいでしょうね」

「じゃあ、却下だ」

「私ではご不満ですか?」

「おまえほどの美人に相手をしてもらえるんだ。不満があるなんて言ったらばちが当たる」

「なら、どうして……?」

「俺のくだらない事情におまえを巻き込みたくないだけだ。それに、おまえに強くしてもらったと言われるのはしゃくだからな」

「そうですわね。ロパ様は常に不可能を可能にしていらっしゃいました。今回もきっと御自身の力で切り抜けてしまわれるのでしょう。でも、それはそれです」

 フローラはそう言ってベッドの上に腰を下ろす。

「せっかくこうしてまたお目にかかれたのですからいつぞやの続きをいたしませんか?」

 ベッドの上で足を組み、スカートをたくし上げるフローラ。

 御御足おみあしの太ももがエロい。

 パンツが見えてないのにもかかわらず第九の触手が反応してしまいそうになる。

「冗談はそのくらいにしておけ」

 強がってみせるロパであるが、第九の触手は今にも起き上がろうとしている。

「卑怯です、フローラさん! セイレーンの言霊ことだまを使って魅了するのは反則ですよ!」

 エルアーリアがパンと手を叩くと、ロパの中のエロい気持ちが急激にしぼんでいった。

 どうやら知らない間に精霊魔法を使われていたらしい。

「私の魔法を法力だけで中和してみせるなんてすごいわ。腐っても天使ということかしらね」

「私は腐っていません! っていうか、なんで精霊魔法なんか使うんですか? 普通に誘惑すればいいじゃないですか!」

「少し抗魔力を試したのよ。以前のロパ様は桁外れの抗魔力をお持ちだったから大丈夫でしたが、生まれ変わってもそれが維持されているかを確認させていただいたの」

 抗魔力とは文字通り魔法にあらがう力のことだ。

 これが高いと魔法によるダメージを軽減できるだけでなく、状態異常を無効化することが出来る。魔法以外の状態異常、例えば本物の毒による攻撃などは無効化できないが、魔物が体内で生成する毒はほとんどが魔力によって生み出されている為、魔物の状態異常攻撃にも効果がある。

 ロパは生まれつき規格外の抗魔力を持っていたので、魔法による攻撃をほぼ無効化できていたのだ。

「少し強めに術を掛けたのですが、それでも全盛期のロパ様なら問題なく無効化できていたはずです。やはり、そのお体による能力低下は深刻なようですわね」

「いや、おまえの太ももが普通にエロかっただけだと思うんだが……」

「困りましたわぁ。どうしたらいいんでしょうか?」

 フローラがゆっくりと足を組み替える。

 スカートは既に膝上にあるのでパンツが丸見えだ。

 総レースでスケスケの大人のパンツだった。色は紫色。ほんの一瞬だったがロパの脳裏に焼き付けるには十分すぎる時間だった。

「あら、ロパ様、どうかなさいまして?」

 ロパの視線に気付いたエルアーリアが不思議そうに首をかしげる。

「いや、誰かと違ってずいぶん色っぽいパンツをはいてるなぁと思ってさ」

「ロパ様はこういうのがお好きですか?」

 裾を持ち上げてみせるフローラ。

 今度はバッチリとパンツが見えた。

 さすがに第九の触手が起き上がってしまう。

「あら、ご立派♪」

「違う! これはそういうのじゃない! ただの触手だ!」

 本当に触手かどうかはよくわからないが、そういうことにしておかなければならない気がした。

「ちょっとロパさん、私の時より反応よくないですか!」

 近くにいたエルアーリアがいきなり第九の触手を握りしめる。

「おい、馬鹿、やめろ!」

「ただの触手だから平気でしょ!」

 エルアーリアの手が触手を強引にこすり始める。力任せでちょっと痛いが、それでも女の子にしごかれるという心地よさの方が強い。目の前のフローラのパンツもそれに拍車を掛ける。

「やめっ…やめて…もうっ……ああっ……!!!」

 第九の触手から粘液が放出される。

 握っていたエルアーリアの顔にドバッとぶっかけてしまう。

「ああんっ…もうっ……」

 片目をつぶり、手で粘液を拭うエルアーリアの姿にロパは興奮する。

 ドロドロのエルアーリアとフローラの大人パンツ。

 その二つに興奮しすぎてまた意識を失ってしまった。

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