第2話『酒場につどう冒険者』
2021年某月某日。チュイッターの友人にたのまれ急遽ソード・ワールド2.5のゲームマスターを引き受けることになった。
なにやらソシャゲ会社に納品したサーバーのトラブルでどうしてもゲームマスターができなくなってしまったのだそうだ。
友人は客先にほとんど人質同然の状態で張り付きで復旧作業を行っているそうだ。いやはやエンジニアもなかなか大変だ。
さて、俺はというと。……うん、そう。無職なんだ。そんな訳で時間に余裕があるので友人の依頼をふたつ返事で引き受けたのだ。
まあ、……まわりから変に気をつかわれるのもアレなので、チュイッターのプロフィールとかにはテレワーカーと書いている。
さてさて、そんな流れで友人の代理でゲームマスターをすることになったわけだ。
あくまでも俺は代理GMだ。今日のTRPGセッションのメンバーとは面識がない。すこし緊張するがたのしみでもある。
事前に聞いているのは、参加者が社会人ということくらいだ。今日は水曜日、平日だ。あまり長いセッションにならないよう気をつけよう。
ちなみに今日のセッションではZOONを使う。オンラインセッションだ。こんな便利な物がタダで使えるとは良い時代になったものだ。
……さてさて、開始5分前。ZOONのミーティングルームに入るか。ミーティングルームのURLとパスワードは転送してもらったメールを見て、っと。やったぜ一番のりだ!
GM:えーっと、はじめまして。代理のゲームマスターです。みなさん聞こえてますかー?
プレイヤーA:はい。問題ないっす
プレイヤーB:ピノも問題ないよー
プレイヤーC:はーい。大丈夫でーす
まずは一安心だ。オンラインセッションでは通信トラブルでグダりがち。俺はスマホとPCで事前に動作確認をしていたのだ。
おそろしく周到な準備。無職じゃなければ見逃しちゃうね。
……さて。プレイヤーBさんはすでにキャラクターのロールプレイをはじめているようだ。
今回のセッションはみんな初対面だ。距離感が分からない。調子にのってあまりイジらないように気をつけよう。
あとはロールプレイの妨げにならないようにGMとしてあまりメタ的な話方をしない方がよいかもしれないな。プレイヤーBさんガチっぽいし。
GM:ご協力ありがとうございます。今日はソード・ワールド2.5の迷宮王国グランゼールの貧民街区で、シティーアドベンチャーで遊びたいと思います。よろしくおねがいしまーす
一同:はーい
プレイヤーA:ソード・ワールド2.5ってどういう世界観なんですか?
GM:一言でいうと剣と魔法の世界です。今日のセッションでは世界最大規模の大陸アルフレイムの迷宮王国グランゼールが舞台となります
プレイヤーA:了解です。クラシックなファンタジー世界って感じですね。THE・冒険者の街って感じでいいですね~
GM:ですねー。みなさんには新米冒険者として貧民街区で起こるとあるクエストをこなしていただきたいと思います
プレイヤーC:シティーアドベンチャーってやつですねー
GM:ですです。ちなみにグランゼールの貧民街区には蛮族とかが現れたりしますのでキャラクター作成の際はお気をつけて
プレイヤーC:今日のセッションはどれくらいの長さを予定されていますか? ざっくりでいいので教えていただけるとたすかりますー
GM:2時間程度のセッションを予定しています。日付が変わる前には終えられるよう進行がんばります。ご協力おねがいしまぁーす
プレイヤーA:りょーかいっす。そういや、もう夜の9時っすからねー
プレイヤーC:私、さっき帰ってきたばかりなのに、もう9時w金曜だったら問題ないですが平日に夜ふかしはやばいですからねー
GM:ですですw遅くなると翌日きついですからねーw(俺以外は)
プレイヤーA:若い頃は二徹とかいけたんですけどね……。今は正直きついっすw
プレイヤーC:それ、めっちゃ分かりますw
今日は水曜。みんな明日は仕事だ。TRPGは盛りあがると脇道にそれがちだがそれだと徹夜コースだ。GMとしてタイムマネジメントもがんばるぞいっ(俺は拳をぐっと握りしめる)
GM:話のキリがよいタイミングで途中2~3回休憩をはさみます。(トイレ休憩は必要だろう)。みなさんおねがいしまーす
一同:はーい
プレイヤーB:ところでピノたちの冒険はどこではじまるのかい?
GM:スタートは〈挑戦者の旅立ち亭〉の卓で新人冒険者が偶然同席したという設定でお願いします
プレイヤーA:冒険者の酒場でパーティー組むって、なんなWIZっぽくて良いっすね!
プレイヤーC:トラクエのルイータの酒場みたいな感じですか?
GM:ですです! そのあたりはみなさん自由に想像していただいてオッケーです
一同:はーい
GM:たまたま同席した3人が意気投合してパーティーを結成するという流れになります。みなさん初対面という設定でおねがいしまーす
一同:了解です
GM:では、キャラクター作成をお願いします
一同:はーい
GM:では10分後に再開しますね。一旦ミュートにします
俺はインスタントコーヒーをくゆらせながらチュイッターを眺める。星之ケンと荒垣ユイがご結婚。ふーん。へぇー。……そっ、すか。
さて気を取り直してっ、と。求職活動中の俺はヤホーメールのチェックも忘れない。……お祈りメール1件。……はいはい。完全にノーダメ。
GM:それでは、1人ずつ自己紹介をお願いします。キャラクター紹介からは、口調もキャラにあわせてお話いただけるとたすかりまーす
プレイヤーA:了解っす。では俺からいきますねー
キャラクターの詳細な設定はZOONで共有してもらった〈キャラクターシート〉を参照するとして……。ふむふむ
*GMがZOON経由で目をとおしている各プレイヤーのキャラクター資料は別ページ〈設定集『キャラクターシート』〉に記載しています。
◇人間の戦士の少年:シン
プレイヤーA→シン:俺の名前はシン・エヴァンス。人間の戦士だ
GM:シンはどんな容姿なんですか?
シン:これが俺のツラだ(金髪青目の騎士のイメージ画像が共有される。SA◯のユージロというキャラだ)。歳は18だ
GM:シンの経歴はどんな感じですか?
シン:俺は田舎の村で産まれ育った。父は、……いねぇ。俺に居る家族はオフクロだけだ。まあ、18のときにオフクロもおっ死んじまったんだけどよ……
GM:なるほど
シン:村には未練はなかった。俺は家財道具一式売り払って冒険の軍資金にした。まあ、1200ガメル程度にしかならなかったんだけどな
GM:苦労をしたみたいですね
シン:まあな。俺の冒険者としての能力だが、フェンサーLV2(軽戦士)とスカウトLV1(斥候)を納めている。前衛はまかせろ!
◇グラスランナーの少女:ピノ
プレイヤーB→ピノ:ピノはグランスランナーの女の子だよ
GM:ピノのイメージについて教えてください
ピノ:イメージかい? 辻絵師に描いてもらった似顔絵ならあるけど。それでもいーかい?
GM:はい。問題ありません
ピノ:なんかちょい恥ずかしいけど。ほい(草原に立つかわいい少女の画像が共有される)
GM:かわいらしいキャラですね。これは何って作品のキャラですか?
ピノ:うーん。ピノはピノだねー
GM:(そうだな。ピノさんはガチ勢だった)ではピノの経歴を教えてください
ピノ:ピノは16歳の誕生日に夢を見たんだよね。グランゼールで冒険者になる夢だね。そんでビビッときたの。んで冒険者になったっしょー
GM:なるほど(なるほど)。では、能力面について教えてください
ピノ:ピノは歌を歌うのが好きなんだー
GM:はいはい。バード(吟遊詩人)ですね
ピノ:だね。ピノはバード(吟遊詩人)LV2、スカウト(斥候)LV2だね。ところでここで一曲歌ってもよいかい?
GM;はい。どぞどぞー
ピノ:らーらーららぁーらー
一同:拍手
◇メリアの少女:ハル
プレイヤーC→ハル:私はハル・ウララ3歳だわ。メリアの少女ですわよ
GM:おおっと。メリアですか。ソード・ワールド2.5で新たに加わった種族ですね。なんか植物から進化した人族だとか。凄い設定ですよねー
ハル:私の外見は人間とほとんど同じてますけど、体は植物よりなのよね。種から成長するって、自分ごとながら不思議ではありますわね
GM:ハルはどんなイメージですか?
ハル:私のイメージはこんな感じですわね(画像が共有される)
GM:おお……。銀髪っ子ですね(大きいヒマワリの髪飾りをした銀髪少女が映っている)
ハル:エロゲキャラだけど、問題ないかしら?
GM:もちろんぜんぜんおっけーですw
ハル:ほっとしましたわ。私は10年しか生きられない短命種のメリアなのだわ。命短し恋せよ乙女ですわね。広い世界をこの目で見たくて冒険者になったのですわ
GM:なるほどー
ハル:ちはみに冒険者技能はプリースト(神官)LV2、セージ(学者)LV1、フェンサー(軽戦士)LV1をおさめているわね
GM:みなさん自己紹介ありがとうございます。次のシーンからクエストがはじまります。引き続きよろしくおねがいしまぁーす
一同:はーい
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