14
ようやく、テストが終わり、今日はテストが帰ってきて···順位が出る日。
「あああ!こえー!!」
通学中にそう叫んでしまった。隣で咲良がオロオロしている。
「だ、大丈夫だよ!あんなに頑張ってたんだもん、きっと入ってるよ!」
「そうか〜···?十位以上なんて、入ったことねーぞ、俺。」
「そ、そうかもしれないけど、でも大丈夫。」
「なんでそう言いきれるんだよ?」
自信満々でそう言う咲良にそう聞くと咲良は笑顔で言った。
「だって、これから先も楓くんと一緒にいたいんだもん!」
そう言われてハッとする。そうだよ、俺達、一緒にいたくてあんなに頑張ったんだもんな···。
「そうだな。俺も一緒にいたい。」
「良かった!」
そんな事を言っているうちに学校に着いてしまった。
「咲良!」
教室に入る前に咲良を呼び止める。
「なに?」
「ありがとな。」
俺が言うと咲良はフワッと笑って頷いた。
そして、時間になった。
「成績順位掲示するぞー!」
先生が順位の紙を広げる。こんなに緊張するのは初めてだ。
「楓、お前···。」
一緒に、見ていたクラスメイトがポカンとした声を上げる。その声に導かれて顔を上げると···。
「え?ご、五位···?」
そこには『五位 秋野楓』と書いてあった···。
「お前、すげーじゃん!」
「やれば出来んじゃん!」
そんな声が周りから聞こえる。
「やった、やった、やったー!!」
ようやく実感が湧いてきて思わず大きな声が出た。その直後、制服を引っ張られる。
「花純?」
引っ張られた方向を見ると、花純が少し困ったような顔をしてた。
「咲良が呼んでるんだけど、階段の踊り場で。」
「踊り場?···まあいいや、今行く。」
クラスメイトに事情を話して俺は踊り場に向かった。
踊り場に着くと咲良はしゃがんで泣いていた。
「咲良、楓連れてきたよ。」
「···グズ、ありがとう。」
そう言っても咲良は顔を上げない。
「じゃ、私は戻るから。」
「え、お、おい!」
そう言って花純は戻って行った。どうすればいいんだ。
「楓くん、良かった···良かったよ〜···。」
小さな声でそう言っていて、ようわく事態が読めた。ようは安心したんだろう。
「···咲良。」
俺も一緒しゃがんで腕を広げる。そしたら咲良がそこに飛び込んできた。支えきれず尻もちをついたが気にしない。
「良かった、良かったよ〜!!」
「うん、良かった。」
静かに泣き続ける咲良が落ち着くまで、俺は抱きしめていた。
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