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次の日。今日も楓くんは迎えに来てくれた。
「はよ。」
「おはよう。今日も来てくれたの?」
「おう、毎日来るぞ!」
そう言って楓くんは笑う。
「ふふ、ありがとう。でも、無理しないでね?」
「分かってるよ。」
そう言いながら学校に向かう。
「なあ、昨日言ってた考え事ってなんだ?」
そう聞かれてギクッとする。昨日、楓くんが帰る時「考え事もあるよ···。」とボソッと言ってしまったの、聞こえてたんだ···。
「え、えっと···。」
「あるんだろ?」
不思議そうにそう聞かれて、私はなんて答えたらいいのかわからなくて、言ってしまおうと思った。
「楓くんに、お礼がしたくて···。」
「な、なんで···?」
「なんでって···、いつも助けてくれて、優しくて···私、なにもしてあげられないから···。」
私がそう言うと楓くんは「う〜ん」と唸った。
「あ、そうだ!勉強教えてほしい!」
閃いたとばかりに楓くんは言った。
「それで、お礼になる?」
「なるなる!俺、自慢じゃないけどテストあんまいい点取れないんだよ。だから助けてくれ〜!」
そう言って楓くんは手を合わせた。
「それでいいなら、喜んで!じゃあ今日図書館で勉強して帰ろっか!」
「おう、よろしく頼む!」
そんな事言ってるうちに学校に着いた。
「じゃ、俺教室行くな。」
「うん、またお昼にね。」
「ああ、迎えに行くから待っててな!」
そう言って私達は各々教室に行った。
「あ、咲良、おはよう!」
「おはよう、花純ちゃん!」
「なんかスッキリした顔してるね。」
「分かる?実はね···。」
花純ちゃんに昨日の話をすると、ニヤニヤしながら聞いてくれた。
「そっか、良かったね。」
「うん、それでお返しに勉強教えることになってね、楓くんともっと一緒にいられるようになったの。」
「おお、いいね!私も楓子に教えて貰おうかな〜。」
そんな事を言っているとチャイムがなった。とりあえずまずはお昼になるのを待とう。
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