7
やってしまった···。楓くんとのお昼の約束、破ってしまった···。それどころか、お昼食べずに「そばにいて」なんて、虫がいいにも程がある。なのに、楓くんはそばにいてくれた。それが嬉しかった。
破ってしまった原因は分かってる。明日、楓くんにちゃんと話さなきゃ···。やっとそう思えたのは夕方だった。
「咲良、ど〜お〜?」
そう言ってお姉ちゃんが入ってきた。
「お、顔色も良くなったね〜。」
「うん、帰ってきた時より気分もいいし、明日は学校行けそう。」
「良かった〜。」
ピーンポーン。そんな音がなった。誰か来たのかな?
「誰だ君は!?」
「咲良さんの、恋人です。」
そう言う声がした。この声は···。
「あ!咲良!」
声を、聞いた瞬間、私は部屋を飛び出した。
「楓くん!」
そう言って楓くんの前に立ち塞がる人影を押しのけ楓くんの胸に飛び込んだ。
「楓くん、ごめんね!ごめんね!」
「咲良、気にしてないから。というかお前、身体は大丈夫なのか!?」
私を受け止めながら楓くんはそう言った。優し過ぎるよ···。
「うん、もう大丈夫。明日は一緒にご飯食べようね。」
「···そうだな。」
涙声でそう言うと楓くんは優しく頭を撫でてくれた。
そんな時後ろで「うおっほん」とわざとらしい咳払いが聞こえた。
「咲良、その男から離れなさい。」
そう言ったのは···
「お父さん···。」
いつもならいないはずのお父さんだった。
「何をしている、早く離れるんだ。」
「い、嫌です。」
怒りながらそう言うお父さんに、私は人生で初めて反抗した。
「な!?」
「あら、楓さん、来てくれたの〜?さ、上がって。」
お父さんが困惑している時に後ろからお姉ちゃんがそう言った。
「そうだよ、上がって!私の部屋行こ?」
「え?でも···。」
「咲良、明日佳!」
「あら、いいじゃない?ここは私の家よ?」
そう言われると何も言えないのかお父さんはスっと道を開けた。楓くんは断ろうとしてたけど、私が手を引くとすんなり上がってくれた。
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