6
昼休みになって、咲良の教室に迎えに行こうとしてると取り巻き、いわゆる俺達の関係をよくないと思っている奴らに捕まった。
「ねえねえ、ご飯一緒に食べようよ〜。」
「いや、今日から咲良と食べるから。」
俺がそう言うと、こいつらは嫌そうな顔をした。
「え〜なんで〜?」
「なんでって、彼女だから?」
「なにそれ〜?意味わかんない!」
「他の子の時はそんな事お構い無しだったクセに!」
そう、彼女達の時はあくまでも『告白されたから付き合う』みたいな感じだったから、昼飯を一緒に食べるみたいな事はしなかった。彼女達から誘われる事もなかったし、自分から誘うことなんてそれこそない。だから、自分でも分からないのだ。なぜこんな事をするのか。
「咲良ー、迎えに来たぞー。」
そうこうしてるうちに咲良の教室に着いた。ただ···。
「あ、楓。」
咲良がいなかった。まさか、また何かトラブルに巻き込まれて···
「咲良なら保健室だよ。」
「へ?保健室?」
そう思って青くなっていると花純がそう言った。
「そう、保健室。」
「な、なんで···?」
「あ〜体育の授業中に貧血起こしたんだよ。」
「そ、そうか···。」
なら、寝てるよな。そんな時に行っても迷惑だろうし···。
「行ったげなよ。」
そう言ったのは周りにいた女子の一人だった。
「彼女さん、喜ぶよ。」
まっすぐそう言った彼女は、取り巻きの中でもリーダーのような存在だったらしく、皆納得いかないという顔をしながら頷いていた。
「じゃあ今日は解散。残念だけど、彼女さんと二人にしてあげましょ!」
「はーい。」
そう言って女子達は去って行った。
「おい!」
「何?」
リーダー格のやつを呼び止めると振り返ってくれた。
「ありがとな。」
「彼女さんには、昨日嫌な思いさせたからね。」
そいつはそう言うと少し俯いた。そっか、こいつ昨日もいた。
「楓が本気だって分かったから、応援してあげる。だから早く行きな。」
そう言って彼女も行ってしまった。俺も早く咲良のとこ行こ。
保健室に着くと先生が書類を書いていた。
「あら、お見舞い?」
「あ、はい。二年三組の三波咲良のお見舞いです。」
「ああ、三波さんね。奥のベッドに寝てるわ。」
「ありがとうございます。」
そう言って奥のベッドに行くと咲良が青白い顔で寝ていた。
「保護者の方に連絡して、早退する事になってるから。友達にも伝えといて。」
「はい···。」
そう言って先生はデスクに戻った。早退。そんなに具合悪いのか···。
「ん···。」
帰ろうとしていると咲良が起きてしまった。
「あ、楓くん···。」
「わ、悪い。起こすつもりは···。もう、帰るから、お大事に···。」
「待って···。」
教室に戻ろうとしていると咲良が手を掴んできた。その手は震えていて···。
「行かないで···。」
泣きそうな声に、俺はなにをしてあげられるかが分からない。そんな自分が情けなくなった。
「どうしてほしい?」
「そばにいて···。」
それでも余裕な振りをしてそう聞くと咲良は小さくそう言った。
「···分かった。予鈴なるまでな?」
「うん、ありがとう···。」
そう言うと咲良はまた寝てしまった。さっきより顔色がいい気がするのは気のせいだろうか···。
その後、予鈴がなる前に明日佳さんが来て咲良は帰って行った。
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