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次の日。俺は咲良の家の前で咲良を待っていた。
「え!楓くん!?」
「よ、おはよ。」
何も言わずに来たから咲良はびっくりした顔で俺を見た。
「ど、どうしたの?学校行くなら反対方向だよね?」
「昨日の事があったから、迎えに来た。」
「ちょっと咲良、お弁当忘れてるよ〜。」
そう言って出てきたのは咲良によく似た女の人だった。たしか、お姉さん夫婦と一緒に暮らしてるって言ってたな···。
「どちら様?」
「あ、お姉ちゃん。えっとこの人がお付き合いしてる···。」
「初めまして、秋野楓と言います。」
「あ、この人が〜。」
俺が頭を下げると咲良のお姉さんはそう言った。
「咲良の姉の明日佳です。咲良の事、よろしくね。」
「は、はい···。」
「そ、そろそろ行かないと遅刻しちゃう!」
スマホを見て咲良がそう言う。もうそんな時間か···。
「あ、ああ、そうだな。」
「あら、もう行っちゃうの?」
明日佳さんが残念そうに言う。
「それじゃ、行ってきます!」
「行ってらっしゃい!楓さん、今度遊びに来てね〜!」
「は、はい!」
「楓くん、行こ?」
「そうだな。」
そう言って俺達は咲良の家を出発した。
「ありがとう。」
「ん?何が?」
「迎えに来てくれて···。」
いきなり言われてびっくりした。
「一人で行くの、実は怖かったの。だから、嬉しかった。」
俯きながらそう言う咲良は、とにかく可愛くて、抱きしめたくなった。でも、通学路で、どこで誰に見られてるか分からない。また、咲良が怖い目にあうかもしれない。そう思うと出来なかった。
「そう言う時は頼れよ。」
そう言って頭を撫でるしか出来なかった。
「うん、ありがとう。」
そう言いながら少し泣きそうな咲良に、俺は何も出来なかった。
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