2
初デートから数日。俺は取り巻きの女子に囲まれていた。なんだか最近多い気がする。
「おーい楓!」
そんな時、だいたい助けてくれる人がいる。
「あ、楓子先輩!」
俺がそう言うと女子達は道を開ける。すかさず楓子先輩の所に行く。
「お疲れ様です!」
「おお···相変わらずの人気だな?」
「やめてくださいよ〜。ほら、部活行きましょ!」
そう言って俺達は部室へ向かう。俺達は写真部だ。と言っても部員は俺と楓子先輩、咲良、楓子先輩の彼女の花純の四人。
「おつかれ〜って、あれ?まだ二人来てないんだな。」
部室に入るとまだ二人とも来てなかった。いつもなら先来てるんだけどな···。
「掃除当番じゃね?···それよりどうだったんだよ?」
「な、なにがっすか?」
「なにって、この間のデートだよ。」
そう言われて思い出す。
「可愛かったっす。」
「どこが?」
「どこって···。まず、服装でしょ。それから、映画見ながら顔を赤らめたり、オープンカフェが怖いって言ったり、写真撮ってもらう時恥ずかしがりながらもちゃんと要望に応えたり···言い出したらキリないっす。」
そう、キリがないのだ。それくらい可愛かった。そんな彼女と俺は付き合っているのかと思うと嬉しくて仕方なかった。
「へえ、お前もそんな相手を見つけたんだな。しかも、一年間同じ部活のやつとは思わなかっただろ? 」
「はい。思わなかったっす。」
俺は告白されたら付き合うという事が多かった。ただ、デートプランは全部俺が決めて、リードするのも全部俺。そんなに好きな訳でもない女子にそこまでするのがいやで、大抵は俺から別れを告げていたた。
そんな俺にも好きな人が出来た。それが咲良だ。咲良は引っ込み思案で、クラスが違うから部活の時にしか話さなかったけど、話すと意外と趣味が合って楽しかった。その感情が恋に発展するのはそんなに時間はかからなかった。
何度も告白したけど、その度咲良は『釣り合わない』と言って断られた。でも、俺は諦められなかった。それくらい本気だった。いや、今も本気だけど。
それに、咲良も俺の事を好きだと言うことを花純から聞いていたから。
五度目にしてようやくOKが出た時は嬉しくて泣きそうになった。それから二ヶ月、昨日やっとデートできて、俺は最高に気分がよかった。
「何ニヤニヤしてんだ!」
そう言う声と共に頭をスパーンと叩かれた。楓子先輩が叩いたのだ。
「す、すいません、咲良の可愛さを思い出して···。」
「まあ、その気持ちは分かるが、あんまりニヤニヤするんじゃないぞ?」
「はい。」
先輩のアドバイスに頷いてから咲良と花純が遅いのに気付く。こんなに遅いのは初めてだ。
「二人、遅いっすね···。」
「そうだな···掃除当番、長引いてんのかな?」
そう言った時、扉が勢いよく開いた。そこに居たのは花純だけだった。嫌な予感がする。
「花純、どうしたんだ、息切らして?咲良は?」
「楓、大変!!」
楓子先輩の声が聞こえてないのか花純は俺を見て言った。その目にはうっすら涙が滲んでた。
「咲良が···咲良が、他のクラスの女子に連れてかれた!」
「···っ!どこに!?」
「体育館裏!早く行ってあげて!」
場所を聞いた瞬間、俺はカバンを持っていた。
「先輩、俺と咲良、このまま帰ります。」
「了解。花純、咲良の荷物は?」
「教室出た所で捕まったから持ってると思う。」
「ん、ならいいな。先生には言っとくから。」
「ありがとうございます!」
そう言って俺は部室を、飛び出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます