第3話 いい眠りはいいベットから

「ここが目的地なの?」


「そうさ、ここが都市ローハルだ!」


 私のいた町の隣の町の名前はローハルと言うらしい。私の住んでいた町よりも大きい町だが国の中では小規模な方らしい。ちなみにこの国の名前はギルダハ王国と言うらしい。


「あそこから中に入るんだ」


 言われた方を見ると立派な門があった。特に人が多かった訳でもないのですぐに中に入ることができた。入るのには銀貨1枚払わなければいけなかった。彼らは私の分も払おうとしたのですぐに自分の分を払った。これ以上お世話になるわけにはいかないと思ったからだ。


 その後は冒険者ギルドまでつれてってもらうことにした。この先生きていくのにはそれが一番いいと思ったから、まずは冒険者登録をしようと思っていた。冒険者ギルドにつくと中にいた人たちが一斉にこっちを見てきた。


「そのガキは何だよジョン」


「ついに子守をやるようになったのか」


 大きな笑い声とともにそんなことを言ってきた。


「道の途中でみつけたのさ。何でも魔物か何かに襲われて親と離ればなれになっちまったらしい」


 ジョンがそう言うと笑い声は収まった。


「そういうことならもっと早く言ってくれよ。嬢ちゃん悪いこといっちまったな」


 悪い人たちではないらしい。顔は怖いけど。


「大丈夫」


 それだけ言うと私は受付らしきところに向かって歩き始めた。


「ようこそ冒険者ギルドへ。本日はどのようなご用件でしょうか?」


「こいつの冒険者登録を頼もうと思ってな」


 受付の人の丁寧な対応に驚いているとジョンが代わりに答えてくれた。


「冒険者登録ですね。登録料に銀貨1枚かかりますがよろしいでしょうか?」


「どうぞ」


 ジョンに払わられたらたまらないと思いすぐに払った。すると代わりに木でできた板を渡された。


「これで登録完了です。この板はランク1の冒険者である証です。あそこにあるクエストボードからランク1のクエストをうけることができます。ランクを上げるには実績を上げていただければそれに応じてギルドから次のランクに上げさせていただきます」


 その後は細々とした説明を受けたがあまり覚えていない。確か冒険者同士のいざこざにはギルドは関与しないとかだったはずだ。 多分。


「よかったな。これでおまえも冒険者だ」


「ありがとう」


「おう!また何かあったら頼ってくれよな」


 それだけ言うとジョンたちとはそこで分かれた。この後はとりあえずさっき冒険者ギルドで教えてもらった宿に行こう。


「いらっしゃい!」


 宿に入ると恰幅のいいおばさんが出迎えてくれた。この宿は評判のわりに値段をそこまで高くないことから低ランクの冒険者に人気の宿だった。


「一週間泊まりたい」


「一週間ね。なら金貨2枚と銀貨8枚だね」


「どうぞ」


「はい!確かに。これが部屋の鍵ね。上に上がったところの突き当たりの部屋だよ食事は一日二回朝と夜にあるから食べたくなったら降りておいで」


 小さくうなずいて上に上がっていく。部屋に入るときれいな部屋に驚いた。私の知っている部屋は孤児院のあの雑魚寝部屋だけだったので、こんなきれいな部屋で生活できるのかと心が躍った。


 とりあえず今後の計画を立てようと思う。まず今の所持金は金貨3枚に銀貨1枚だ。思ったよりも少なくなってしまった。今後必要なもので、とりあえず鑑定の魔道具と武器は買っておきたいと思う。


 ランク1の冒険者の稼ぎは採取したものの量と質によるらしい。討伐系もあるが私には無理だろう。でも採取だけでも人によっては一日で銀貨5枚も稼ぐ人もいるらしい。まぁ基本は2枚とからしいが。


 ということでしばらくの目標は魔物を倒せるようになることにしようと思う。でも今日はもう無理。こんなきれいな部屋を見ちゃったら何かする気なんてなくなっちゃったから。とりあえず眠ろう。明日からの生活を夢に見ながら。

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