第20話

 それから十数日、アルクたちは歩き続け、ようやく王都へとたどり着いた。


 貧困街とは違い、道路には石畳みが敷かれ、夜でも街を照らす明かりが灯されている。





「ほえぇー。すげー町だな」





 リックが感心していた。

 貧困街出身の彼にこの景色は珍しいのだろう。




「あんまり人はいないんだな? 王都ならこんなものなのか?」




 通りを見ても数人が疎らに歩いているだけ。





「私はこの街は初めてですけど、確かに変ですね」

「――まぁ、こんな日もあるんじゃないか?」




 口ではそう言いながらも、王城辺りから漂うなんとも言えない気配を感じ取っていた。

 しかし、それに手出しするつもりもない。


 どうせ俺に関係のないことだ。

 余計な事に手を出しても良い結果には繋がらないだろう。




「それよりさっさと教会へ行くぞ!?」





 さっさと先へと進んでいく。




「お、おい、ちょっと待てよ。教会の場所がわかるのか?」

「わ、私はちょっとわからないです……」

「――大丈夫だ。俺はわかっている」

「ど、どうしてわかってるんだ? もしかして、この王都に来たことでもあるのか?」

「――それは今は関係ないだろ? 俺は自分の仕事をするだけだ」

「そうでしたね。それじゃあ、案内をお願いします」




 まっすぐに王都にある教会へ向かう。

 大きな建物にはいくつものステンドガラスが付けられており、非常に煌びやかな建物だった。




「ここが教会……ですか?」

「あぁ、そうだ。それじゃあ、俺はここまでだな」




 仕事も終わったことだから、背を向けようとする。

 すると、後ろから抱きつかれる。




「まだ何かあるのか?」

「いえ、今まで本当にありがとうございました。本当ならこれからも一緒に来てほしかったのですけど……」

「あくまでも仕事で付いてきただけだからな」

「わかってます。だからここまで本当にありがとうございました」




 何度も頭を下げてくるリーナ。

 さすがにここまで感謝されたことはなかったので、俺は頭を掻きながら言う。





「まぁ、気をつけろよ。お前が望む結果になるとは限らないからな」

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