第18話:刺客
夕方になるまで、俺たちは部屋の掃除に取りかかっていた。
体を休めようとしたのに、これだと逆に疲れてないか?
という疑問は浮かぶものの、リックはかなり元気になっているようだし、リーナもそれをみて微笑んでいる程度には息抜きになっているようだ。
――さて、それじゃあ、そろそろ俺の仕事をするか。
掃除をそこそこに部屋を出ようとする。
すると、当然ながらリーナが止めてくる。
「アルクさん、どうしましたか?」
「ちょっと息抜きだ。外の様子を見てくる」
「そ、それなら私も……」
「いや、お前は休んでおけ。明日になったらまた王都へ向けて歩いて行くんだぞ?」
「うっ……。わ、わかりました……」
「リック、何もないと思うが、一応リーナのことを任せたぞ」
「――? あぁ、わかった」
リックは不思議そうに首を傾げていた。
わざわざ俺が護衛大将のリーナを任せるなど、普通はない。
それを考えると、リックが抱いた違和感は当然ではあった。
――勘の鋭いやつだな……。
今は敵対してないが、いざという時は手に掛けることも考えておかないといけないだろう。
そんなことを考えながら俺は部屋を出て行った。
◆
しばらくして、俺の回りには数人の男たちが倒れていた。
全員、俺が一人で出歩いていると見るや襲ってきた人物たちだ。
数人で襲いかかってくるところをみると、以前に比べて刺客の強さは上がっていると見るべきだろう。
王都まで行くと俺じゃ太刀打ちできない相手が出てくるかも知れない。
いや、リーナさえ送り届けたら俺の仕事は終わりだからな。
そこまで考える必要はないだろう。
モヤモヤとした気持ちを抱えながら、俺は宿の方へと戻っていった。
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