第12話:対話
「それで、お前はなぜこいつを狙った? 話さないのなら今度こそ死んでもらうが?」
「だ、ダメですよ、アルクさん……」
「お前は黙っておけ! それよりもだんまりか? やはり死にたいのか?」
再び俺は少年を睨み付ける。
その威圧に負けた少年はその場に座り込んで、両手を挙げていた。
「――参ったよ。もう煮るなり焼くなり好きにしてくれ」
「――わかった」
俺は闇魔法で黒い炎を呼び出すと、それを少年に当てる。
「あちっ、あちっ。ほ、本当に焼くなー!」
「お前が焼いて欲しいって要望したんだろう?」
「もう、アルクさん! 話はちゃんと聞かないとダメですよ!」
今のは俺が悪かったのだろうか?
むしろ、この少年の希望通りにしてやったのだから、褒められるべき事なのに。
俺は少しむっとなりながらも、仕方なく話を聞く。
「それでどうして俺たちを襲ってきたんだ? やっぱり金で雇われたのか?」
「――持っていたからだ」
「何を……だ?」
「お前たちが大量の金を持っているところを見たからだ!」
「――あぁ……、そういうことか」
「ど、どういうことですか?」
リーナが首を傾げながら俺の方を見てくる。
「つまり、こいつは俺たちから金を盗もうとして、追いかけてきたんだ。単なるこそ泥だと言うことだ」
「いいだろ!? あれだけたくさんあったんだ。一枚くらい抜いたところでバチなんて当たらないだろ?」
「今の焼かれたのはバチにならないか?」
「――それはお前が勝手にやったころだろ!?」
少年が俺のことを睨んでくる。
「いや、だからあれはお前からの頼みで……」
「神さまは全ての行いを見られてますよ。良いことをすれば良い結果に、悪いことをしたら悪い結果になるのは、全て神の御霊によるものです」
リーナが腰を落とし、突然変なことを言い出していた。
その様子に俺たちはキョトンとしていた。
「なぁ、この姉ちゃん、頭大丈夫か?」
「大丈夫だ、いつも通りおかしいからな」
「ちょっと、聞こえてますよ!!」
リーナは少し憤慨していた。
しかし、咳払いをして、冷静になっていた。
「それより、どうしてお金が必要なのですか?」
「そんなこと、決まってるだろ? 食べていくには金が必要だ!」
「――あぁ、当然だな。そんなこともわからないのか?」
「だから、なんで私がおかしいことになってるのですか!?」
「突然おかしなことをいいだすからだろう? 金がないと生きていけないのは当然だからな」
「つまり、お金があればこんなことをしなくて済むのですね?」
リーナはガサゴソと服を漁り、そして小銭入れを取り出していた。
「あの、これを……」
しかし、俺がその手を止めていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます