第2話 三歳児ってなにするの?

いくら流されると言っても、理解しないまま流されるのと、理解して流されるのでは天と地ほどの差がある。


なので必然的にする事は情報を集めることなのだが、文字を読めないためその学習からだ。本も今まで読んでこなかったからな。


書庫へ行き、数冊の本を本をパラパラと見たのだが何故か日本語で話せるのに文字が違う。


このことは深く考えないようにした。


公用語が日本語ということがたまたまなんて言いたくないが、考えたら答えが出るものでもなければ、知ったところで何が出来る訳でもない。


さらに、僕の直感が触れるなと言ってるのでとりあえず考えるのをやめた。臭いものに蓋をするのが賢い生き方だから。


かなり厳重に保管されていた本を机にのせて読んでみる。やはり印刷技術は存在しないのか。グーデンベルクの偉大さがわかる。


5分ほど見てみたのだが、全然分からない。初めて見る言語だからそうなのかもしれないが、感覚的にはルーン文字みたいだ。前世の記憶があるが故の感想だな。


誰かに教えて貰うのも考えたのだが、3歳での今では辞め、5歳ぐらいになったらそれとなく聞いてみようと思う。無駄に期待されたりするのはごめんだし、目立つのも困る。


とりあえず、絵本系を見ようかと思いもう一度書庫に行こうとした時、後ろから声をかけられた。


「ようやく見つけましたロイド様。何をしていらっしゃるのですか?」


声をかけられた方に振り返ると美女がいた。絹のような金髪にルビーのような赤い目に大きな胸。


3歳児である今性欲がないためすごい美人だなという感想で済むが、大きくなったら直視できないかもしれない。

そんな美女が僕のメイドのクローフィーだ。


「クローフィーか、驚かさないでくれ。散歩してただけだから。」


「はぁ。出歩く時は私と一緒ではないとダメですよ?旦那様は許されるかもしれませんが、奥様に怒られてしまいます。」


父上はこの家の当主らしからぬ大雑把な性格だからね。母上は貴族としてのマナーに厳しいから怖い。美人なのに残念だよ。


「そうだね。とりあえず部屋に戻るよ。」


とりあえず本を読むのはやめるか。だけど、三歳児はなにをするんだ?唯一できるとしたら魔法か。


この世界には魔法が存在する。僕の家系は闇属性に強い適性を持っているらしく、僕も例外なく闇属性を持っている。僕が黒髪、黒目なのも属性の影響かもしれない。


「部屋に戻るよ」


「かしこまりました。何かあればお呼びください。」


そう言って部屋に戻ってから瞑想する。唯一転生前のロイドが興味を持ったのが魔法だった。


それでも父上に聞いたぐらいだが、なんでも気持ちが大事だとしか教えてもらえなかった。


安直に考えれば属性に合った感情の発露をすればいいことになるが、何故かこの方法が間違ってると思わなかった。


そんな自分に違和感と気持ち悪さを感じるが、無視して部屋で座禅を組んだ。



結論から言うとなにもわからなかった。

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