掌編小説・『猫』

夢美瑠瑠

掌編小説・『猫』



                    掌編小説・「猫」


 人類滅亡をたくらむ、秘密結社が、きわめて邪悪な作戦を開始した。

 猫を反乱させて人類を滅ぼそうというのだ!

 よく言われているように、猫族の潜在能力、身体能力、戦闘能力には驚くべきものがあり、猫が本気で爪と牙をむきだして戦えば、簡単に人間とかは殺せるらしい。

 本気で100メートルを走らせればウサイン・ボルトより速いし、山野で、狩りをして自活する能力も人間など比べ物にならないほど高いはずだ。

 大体が狩りをするために特化された肉体条件なのだから…

 ここに目を付けた秘密結社は、猫一般の脳だけに作用する、特殊な電波を10年間かけて開発して、巨大な電波塔を建設して、その電波を地球全体に隈なく送れるようにひそかにしつらえたのだ。

 そうして電波を通じて、催眠術の原理を応用した特殊な方法で、「人間を殺せ、皆殺しにするのだ!」というメッセージを猫たちに送りだした。


 そうなれば猫だから操るのはたやすい。一斉蜂起?しだした世界中の猫たちは、今までゴロゴロ懐いていた飼い主たちに牙をむき、喉笛に食らいついて、次々に絶命させていった。

 電波が送られだしてからたった三日間で人間の殆どが猫という刺客のために落命して、人類は絶滅状態に陥ってしまった。


 そうして宿主を失った寄生虫のように猫たちも、ほどなくして滅びていったのである。


 この狡猾な秘密結社の正体は何だと思いますか?


 実は秘密結社の正体はネズミが進化した宇チュー人で、自分たちの類縁である地球のネズミたちを守るために人間と猫の同士討ちを図ったのだった!


 宇チュー人たちはネズミの脳を進化させる特殊な食料を大量に残して地球を去っていった。


 地球がネズミ族の天下になる日も遠くないことだろう…


 (しかし天敵がいないためにネズミ講のようにネズミ算式に繁殖したネズミの群れが地球を食いつぶしてしまうというチュー意を要する展開もありうるが…)


<了>

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