悪女の日録
8'94'59'80"10"5の鐘が鳴った。お姉様はもう遠くへ行ってしまった。当然祝福はしているけれど、まだ当分安眠できそうにはない。
12'0"11'59'は城塞都市だ。外からの攻撃には堅牢だが、内から叩かれればすぐに壊れる。お姉様がいなくなったことで、不穏分子が紛れ込まないか心配するのもしかたない。
9'5'8'8'5"も言えないままだったけれど、お元気かしら。気に病んでなさらないかしら。きっと大丈夫よね、気に入らなければあの人は気軽にこちらに来て、61"31'5"5'1"なんていう人だものね。無駄に重たい扉を開けて外に出た。
「そうやってまた嘘を重ねるつもりかい、3'52'5'45"」
2'5'6"57'が話しかけてきた。また脱け出したのね。知らないわ、あんな女の言うことなんて。まさかこいつまで私の邪魔をするつもりなの?
「早く鉄柵の中にお戻りになったら、2'5'6"57'。お父様が血眼になって探しておられるわ」
彼はそそくさと私が出た扉へ入っていった。馬鹿ね。顔に出さないように布を深く被って、私は街へ繰り出した。彼の手がつかないようにしなくちゃ。大丈夫よ3'52'5'45"。あなたは何も悪くないわ。
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